日本鳥類標識協会では、バンディングを通して様々な調査・研究活動を促進しています。海外における共同調査の実施や、標識調査によって得られる鳥類の外部形態の計測値の収集のほか、調査を通して得られた知見をもとに識別マニュアル等の整備を実施しています。
▶ 海外共同調査
▶
外部形態計測値の収集
▶ 識別マニュアルの整備
▶
バンディングによる繁殖鳥モニタリング
日本鳥類標識協会では、海外におけるバンディングの普及や技術の向上、海外関連機関との協力体制の構築等を目的に、海外において共同の標識調査を実施しています。これまで、ロシアや韓国、東南アジア諸国で共同調査が実施され、協力関係を構築するとともに、鳥類の渡りの知見の蓄積等の成果を上げてきました。
※ 2018年度の共同調査はベトナムで実施します。ご案内は下記をご覧ください。
▶2018年日本・ベトナム共同鳥類標識調査のお知らせ
年 | 国 | 調査地 | 担当者 | バンダーニュース | 標識大会報告 |
協会誌 報告巻号 |
|
案内 | 速報 | ||||||
2016 | ベトナム | シャンツィ国立公園 | 茂田 | 59 | 61 | 第30回 | |
2015 |
シャンツィ国立公園 バヴィ国立公園 |
茂田 | - | 59 | |||
2014 | 台湾 | 花蓮県・彰化県 | 茂田 | 54 | 55 | 第29回 | |
2013 | 53 | 54 | - | ||||
2012 | 高雄市・台南市 | 50 | 51 | 第28回 | |||
2011 | 韓国 | 洛東江河口 | 茂田・片岡 | 47 | 48 | 第27回 | |
2010 | 46 | 47 | 第26回 | ||||
2009 | 41 | 42/43 | 第25回 | ||||
2008 | - | - | - | - | - | - | - |
2007 | 韓国 | 紅島・黒山島 | 小倉 | 36 | 38 | 第22回 | |
2006 | 片岡 | 34 | 36 | 第21回 | |||
2005 | 原田 | 31 | 32 | 第20回 | |||
2004 | - | - | - | - | - | - | - |
2003 | ロシア | サハリン | 松尾 | - | 26 | - | 25 |
2002 | - | - | - | - | - | - | |
2001 | サハリン | 松尾 | - | 23 | - | 25 | |
2000 | サハリン | 松尾 | 19 | 21 | - | ||
カムチャツカ | 尾崎 | 19 | 20 | 第16回 | 22 | ||
1999 | サハリン | 松尾 | 17 | 19 | - | 25 | |
カムチャツカ | 千葉 | 17 | 18 | 第16回 | 22 | ||
1998 | カムチャツカ | 須川 | 15 | 16 | 第14回 | ||
1997 | カムチャツカ | 梶田 | - | 15 | - |
バンディングでは、鳥類の形態について詳細な情報を得ることができます。基礎的なデータの蓄積のため、一部の鳥類について、捕獲時に計測された外部形態(翼長、ふしょ長、尾長等)の計測値データを収集しています。収集したデータは、日本鳥類標識協会誌に発表されています。
日本鳥類標識協会誌に掲載された測定値収集の一覧
題名 | 発行年 | 巻号 | ページ |
共同調査測定値を集めよう! | 1986 | 1 | 48 |
共同調査-日本産鳥類の全長と体重(第1回中間報告) | 1987 | 2 | 80 |
協同調査 日本産鳥類の全長と体重(第2回中間報告) | 1990 | 5 | 71 |
日本産鳥類の測定値(第1回報告) | 2007 | 20 | 77 |
バンディングによって得られる、外部形態に関する様々な知見や再捕獲データなどから、特定の鳥類の種の識別や、性別・年齢の判定に有効な方法を識別マニュアルとして、日本鳥類標識協会誌に掲載しています。2015年8月には、さらなる識別マニュアルの整備に向け、識別マニュアルワーキンググループが発足し、活動しています。
題名 | 著者 | 発行年 | 巻号 | ページ |
ヒメウ Phalacrocorax pelagicus の骨格の計測値を用いた種同定 | 福田道雄 | 2014 | 26 | 1 |
メボソムシクイ上種3種の外部形質を用いた識別方法 | 齋藤武馬・茂田良光・上田恵介 | 2014 | 26 | 45 |
アオバズクNinox scutulata の齢の識別について | 深井宣男 | 2016 | 28 | 22 |
バンディングでは、捕獲した鳥の繁殖期に特有の形質(抱卵斑の有無)を確認したり、巣立ち直後の飛翔力のない状態の幼鳥を捕獲することなどにより、鳥類の重要な繁殖指標を得ることができます。日本鳥類標識協会では、バンディングによる繁殖鳥のモニタリングを推進しています。
2015年度(第30回)日本鳥類標識協会大会札幌大会では、シンポジウム「標識調査による繁殖鳥モニタリングの意義と活用」が開催され、標識調査による繁殖鳥のモニタリングの利点や課題について話し合われました。
2015年度(第30回)日本鳥類標識協会大会札幌大会 シンポジウム
バンディングによる繁殖鳥モニタリングとして、標準化された標識調査による陸鳥類の繁殖モニタリング調査の推進及び全国鳥類繁殖分布調査への協力を呼び掛けています。
MAPS(Monitoring Avian Productivity and Survivorship)は、標準化(定量化)した標識調査による陸鳥類の繁殖モニタリング調査として、北米で1989年に開始されました。日本では、2012年に6地点で始まり、2014年には13地点にまで増えています。この調査では、かすみ網を用いた標識調査を、鳥の繁殖期に同一場所で一定時間、繰り返し実施します。このように努力量を統一した調査を複数年(5年、できれば10年以上)継続することにより、成鳥個体数、繁殖成功率(成鳥1羽あたりに換算した幼鳥数)、成鳥生存率等の基礎データ及びこれらの変動傾向が得られます。
川路則友・中田達哉. 2015. 標準化された標識調査による鳥類繁殖モニタリングの有効利用. 日本鳥類標識協会誌.27: 14-22
千田万里子・仲村昇・尾崎清明. 2016. 2012~2015 年に福島県で行われた繁殖鳥モニタリング調査の結果報告. 山階鳥類学雑誌. 47: 140-155
千田万里子・仲村昇・尾崎清明. 2017. 2012~2016 年に福島県で行われた繁殖鳥モニタリング調査の結果報告. 山階鳥類学雑誌 48: 117-129
2016年の繁殖期から5年間にわたり、第3回全国鳥類繁殖分布調査が開始されました。日本鳥類標識協会は、バードリサーチ、日本野鳥の会、日本自然保護協会、環境省生物多様性センター、山階鳥類研究所と共に、主催団体の一つとして参加しています。
調査に参加いただける方は、まず、全国鳥類繁殖分布調査のホームページから参加者登録を行ってください 。以下は、バンディングによる繁殖分布調査への協力事例です。
【バンディングによる全国鳥類繁殖分布調査への協力方法の一例】
|