以下の文は、ホームページ委員がとりあえずプログラムを過去形にした報告です (大会実行委員会から報告があれば差し替えることができます) 。 協会大会ウェブ報告の要旨は2014年(第29回)日本鳥類標識協会全国大会 新潟大会 講演要旨集 とテキストは同じものです(一部大会会場で訂正された部分を含んでいます)。 引用する場合は講演要旨集からとなります。 大会後に講演要旨に何らかの追加があった場合は、[追記]以降に書きます。 [追記]以下の部分の引用は、この大会報告のウェブURLが引用元となります。
2014年度(第29回)日本鳥類標識協会全国大会報告
2014年度日本標識協会大会事務局
*新潟大会HP: https://birdbanding-assn.jp/J04_convention/2014/2014taikai.htm
大会報告
新潟大会実行委員長 千葉 晃
日本鳥類標識協会第29回全国大会は、2014年11月15日(土)・16日(日)に、新潟県新潟市西区赤塚のメイワサンピア(複合スポーツ・リゾート施設)で開催された。
会場は新潟市の西方に位置する田園地帯に在り、佐渡・弥彦・米山国定公園に隣接する自然豊かな所です。すぐ隣には砂丘湖「佐潟」があり、角田山や弥彦山を望むことができます。佐潟は瓢湖と共にコハクチョウ等水鳥の飛来地として知られ、1981年に国指定佐潟鳥獣保護区(集団渡来地、面積251ha)に、さらに1996年にラムサール条約の条約湿地に登録され、今日に至っています(写真1)。潟のほとりには、ビジターセンター「佐潟水鳥・湿地センター」や野鳥観察施設「潟見鳥」が設けられ、来訪者に利用されています。また、潟の西端にある「上潟」の沿岸では1994年から標識調査が継続され(写真2)、その成果はオオジュリン等小鳥類の移動経路の解明にも貢献してきました。
この時期は秋の小鳥類の渡りのピークは過ぎているものの、初冬の様子を見ることができる時期であり、また越後平野を背景にして潟を飛び立つ多くの水鳥の姿を見ていただけました(写真1,3 写真はすべて大会案内用のものです)。
写真1.佐潟の湖面と上空を群れるコハクチョウ
写真2.足場の悪い佐潟での標識作業と放鳥を待つ小鳥類3種
(上からオオジュリン,ベニマシコ、コホオアカ)
今大会の目玉は、大御所ラーシュ・スベンソン(Lars. Svensson) 博士の来日(山階鳥類研究所招聘)に合わせシンポジウムを開催した点にあります。博士からは基調講演をして頂く事ができ、その後この話題と関連深い小鳥類の識別、種分化、外部形態、生活史等に焦点を合わせた発表を聞きました。また、テーマをしぼった指定講演、新潟県で行われている標識調査のポスター発表、全国のみなさまからの一般講演をしていただきました。
今回開催するシンポジウムのテーマは、「鳥類の標識調査Now −標識調査における識別ガイド−」で、先ず第1セッションでは、Svensson博士から基調講演「A bird in
the hand −dead or alive−(手の中の野鳥 −死体であれ生体であれ−) 」をしていただき、これを受けた第2セッションでは「日本の標識調査識別ガイド作成をめざして」、第3セッションでは「ポスター事前発表 −地元バンダーの活動紹介」と続けました。第2セッションでは、大方の関心にも拘わらずこれまであまり討議されてこなかった小鳥類の識別を題材に、バンダーとバーダーの知見を総合し、その中から日本における新たな標識調査における識別ガイドづくりのヒントが得らたのではと考えています。第3セッションでは、地元のバンダー会員から生の声を発信してもらい、それぞれの作業現場における成果と共にシンポジウムテーマに関連した知見や要望等を述べてもらいました。翌日の指定講演では、山階鳥類研究所副所長の尾崎清明氏から小鳥類の尾羽等に頻発している異常を全国的規模で調査した結果とその意義について教育講演していただきました。
☆☆☆ ラーシュ・スベンソン(Lars Svensson)博士の紹介 ☆☆☆
1941年生まれ。「Identification Guide to European Passerines (邦訳『ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド』、(文一総合出版)の他、野生鳥類の識別に関する著者や論文多数。ヨーロッパ諸国、アジア、北アフリカ等の博物館で分類学的研究を実施。スウェーデン野鳥記録委員会設立(1972年・1986年委員長)。イギリス鳥学会分類委員会委員、イギリス鳥学財団名誉バンダー、ウプサラ大学名誉博士。
ラーシュ・スベンソン博士
1.開催日: 2014年11月15日(土)・16日(日)
希望者によるエクスカーション(早朝探鳥会)は16日(日)6:00〜7:00
(佐潟の水鳥観察・湿地センター;会場からミニバス送迎)
主催:日本鳥類標識協会・日本鳥類標識協会新潟グループ
後援: 新潟市
2.会場: メイワサンピア
〒950-2261 新潟県新潟市西区赤塚4627-1
TEL:025-239-3232 FAX:025-239-3233
会場(講演会場・宿泊施設・懇親会場はすべてメイワサンピア内)と早朝探鳥会の場所(佐潟)の位置関係及びアクセスポイントとなるJR越後線越後赤塚駅や国道116号線は下の略図のとおりです。
図1 大会会場付近の略図
3.日 程・プログラム English Program
第1日目(11月15日・土曜日午後)
13:00 受付開始・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2Fロビー)
13:30 開会
開会(13:30)・・・・・・総合司会 高辻 洋・・・・・・・・2F日本海<主会場>
開会の挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・委員長 千葉 晃
シンポジウム 「鳥類の標識調査Now −標識調査における識別ガイド−」
セッションT(記念講演) 13:35〜14:35(60分)・・・・・・・・・座長 尾崎清明
Lars Svensson A bird in the hand −dead or alive−・・・通訳 仲村 昇
ラーシュ・スベンソン 手の中の野鳥 ―死体であれ生体であれ―
セッションU(日本の識別ガイド作成をめざして)14:40〜16:10 (90分)
・・・・・・・座長 須川 恒
千葉 晃 コジュリン雄の羽装変化と囀りの個体変異・・・・・・・・・(20分)
茂田良光 日本産と外国産のメジロ Zosterops japonicus の識別
―密猟と違法飼育の防止―・・・・・・・・・・・・・(20分)
齋藤武馬 3種類に分かれたメボソムシクイの分類学的再検討の経緯と各種の識別について
・・・・・・・・・・・・・・・・(30分)
大西敏一 野外識別を楽しむ― バードウォッチャーの出来ること、望むこと ―・・(20分)
<休憩16:10〜16:20 (10分)>
総合討論(16:20〜16:30)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・座長 須川 恒
シンポジウム企画および総合討論における課題整理(案)
閉会(16:30)・事務連絡
★日本鳥類標識協会総会(16:30〜17:30)・・・・・・・・・・・・・2F 日本海
<休息/自由(60分)>
展示中のポスター10題は2階ロビーで随時閲覧できます
★懇親夕食会(18:30〜20:30)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2F 米 山
第2日目(11月16日・日曜日午前)
★早朝探鳥会(6:00〜7:30 希望者)・・・・・・・・(佐潟の水鳥観察・湿地センター)
ミニバス送迎: 玄関前5:45集合/湿地センター前7:15集合(人数に応じて変更有り)
★朝食/休息(7:30〜9:00)・・・・・・・・・・・・・・・・・1F ガーデンテラス
<講演会>
★指定講演 9:00〜9:40 (20分×2題)・・・・・・・・・・・・・・・座長 渡辺 央
尾崎清明 オオジュリンに頻発する異常羽毛出現頻度
本間隆平 新潟県の標識調査
★ポスター発表の質疑/休憩 9:40〜10:00(20分)・・・・・・・・・座長 渡辺 央
南雲照三 福島潟鳥類標識調査15年間の実績報告〜オオヨシキリを中心に〜
本間 隆平・千葉 晃・白井康夫 瓢湖における鳥類標識調査
村上 正志 大河と鳥とバンダ―と(阿賀野川河川敷の調査地紹介)
伊藤泰夫 新潟市関屋海岸に於けるリカヴァリー
三冨一裕 新潟市寺尾中央公園における、春季渡り鳥標識調査
千葉 晃・高辻 洋・白井康夫・木下 徹・小野島 学
新潟市佐潟での鳥類標識調査20年間の歩み
木下 徹 越後の豪農「笹川邸」での標識調査
木下 徹 下越地区におけるノジコの標識調査適地を求めて
渡辺央*・五十嵐伸吾・井口忠・古川英夫・横山美津子
長岡市比礼におけるノジコ(Emberiza sulphurata)の秋季標識調査
小林 成光・長谷川 誠・長谷川和正・風間辰夫・松永 洸
鳥類標識調査地「悪田自然緑地」の保護活動
★一般講演 10:00〜11:15 (15分×5題)・・・・・・・・・・・・・座長 千葉晃・風間辰夫
小倉 豪 セジロタヒバリとコセジロタヒバリの識別
小田谷嘉弥 非繁殖期におけるヤマシギの年齢識別と換羽
辻 幸治 ウトナイ湖のノゴマの渡り
出口翔大 繁殖期のノジコEmberiza sulphurataに中山間地のヨシ原は重要か?
馬田勝義 JBBA 日台共同鳥類標識調査(2012年〜2014年)
閉会の挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・会長 川路則友
★記念撮影(11:20)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・正面玄関
<解散(11:30)>
写真3.湖岸の浅瀬に群れるコハクチョウ
English Program
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29th Annual Meeting of Japan Bird Banding Association (JBBA) in Niigata
Organizer: Japan Bird Banding Association (President, N. Kawaji)
Local Organizing Committee
R. Honma, A.Chiba, H. Watanabe, Y. Itoh, T. Kinoshita, S. Kobayashi
H. Satoh, Y. Shirai, H. Takatsuji, M. Onojima, K. Mitomi, T. Kazama
Time:Nov. 15 (Sat)-16(Sun), 2014
Venue: MEIWA SUNPIA
Akatsuka 4627-1, Niigata Nishi-Ku, Niigata 950-2261, JAPAN
TEL:025-239-3232;FAX:025-239-3233;URL: http://meiwasunpia.com/
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Program
15 Nov. (Saturday) Room, Nippon Kai (2F)
Opening Address A. Chiba
Symposium Bird Banding and Approach to Useful Identification Guide
Session I (Plenary Lecture)13:35〜14:35 Chair (K. Ozaki)
Translation (N. Nakamura)
Lars Svensson A bird in the hand −dead or alive−
Session II (What is Useful Identification Guide for Japanese Birds ?) 14:40〜16:10 (90min)
Chair (H. Sugawa)
A. Chiba External features of male Japanese Reed Bunting and
variation of their song patterns
Y. Shigeta Identification of White Eyes in Japan and other countries,
a contribution to prevention of poachings
T. Saitoh Revision of taxonomy of Arctic Warbler with reference to characteristics
available for field identification
T. Ohnishi Pleasures in field identification of wild birds, a possible contribution of bird
watchers to useful identification guide
General discussion(16:20〜16:30) Chair (H. Sugawa)
General Meetings of JBBA(16:30〜17:30) Room, Nippon Kai (2F)
(Members only)
Break(60min)
Postes (10 topics by local banding groups in Niigta) are presented and available
at lobby (2F) all day.
Dinner & Talking(18:30〜20:30) Room, Yoneyama (2F)
16 Nov. (Sunday)
Free Mini-excursion around Sakata and Visitor Center (6:00〜7:30)
Transported by minibus (departure at 5:45; return at 7:30, due to weather)
Breakfast & Break(7:00〜9:00) Garden Terrace (1F)
Scientific Meeting Room, Nippon Kai (2F)
Invited Presentation(9:00〜9:40) Chair (H. Watanabe)
K. Ozaki Prevalence of anomalous feathers in Reed Bunting
R. Honma Historical view of bird banding in Niigata Prefecture, Japan
Discussion for Poster Presentations and Break (9:40〜10:00) Coordinated by H. Watanabe
10 posters are presented by local banding groups in Niigata and subjected for discussion
P1 by S. Nagumo on banding at Fukushima-gata lagoon in Niigata City
P2 by R. Honma et al. on banding of waterfowls at Hyo-ko, a Ramsar site
P3 by M. Murakami on banding of passerines at riparian forests, Agano River
P4 by Y. Itoh on passerine at coastal pine forest and recovery data by banding
P5 by H. Mitomi on banding of passerines at an urban park, Terao Park
P6 by A. Chiba et al. on banding of passerines at Sakata swamp, a Ramsar site
P7 by T. Kinoshita on bird banding at big farmer’s garden, Sasagawa-tei
P8 by T. Kinoshita on searching good banding site for Japanese Yellow Bunting
P9 by H. Watanabe et al. on migration and banding of Japanese Yellow Bunting at
Nagaoka district
P10 by S. Kobayashi et al. on preservation of the nature and banding site at
Akuta wetland
Oral Presentation (10:00〜11:15) Chair (A. Chiba & T. Kazama)
T. Ogura Identification of Pechora Pipit and its related subspecies
Y. Odaya Age determination and molting of Woodcock during non-breeding season
K. Tsuji Migration of Ruby-throat at Lake Utonai, Hokkaido, based on banding
S. Deguchi Evaluation of deserted paddy field for breeding habitat of Japanese
Yellow Bunting in lower mountains
K. Umada Brief report of banding research at Taiwan by co-operation of
Japan-Taiwan group.
Closing Address President, N. Kawaji
Group Photo (Get together, 11:20) at Entrance
See you again (11:30)
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シンポジウム 企画文 講演要旨 課題整理案
■企画と総合討論課題整理(案) 須川恒(以下の内容はシンポジウム進行のために準備した内容です。)
シンポジウム「鳥類の標識調査Now −標識調査における識別ガイド−」では、セッションTとして、ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイドを作成されたスベンソンさんによる基調講演「手の中の野鳥 ―死体であれ生体であれ―」があります。
村田健さん翻訳(尾崎さん・茂田さん監訳)の訳書は2011年に出版されました。この本では原書にあった229種のうち日本にかかわりのある148種についてとりあげられています。
セッションU「日本の識別ガイド作成をめざして」では、講演のトップバッターとして千葉さんが、開催地新潟にある潟におけるコジュリンの研究結果から本種の識別ガイドを作成する上での課題を紹介します。次に茂田さんが、識別ガイドの応用例として、メジロ類の識別が密猟と違法飼育を防ぐ観点から重要であることを紹介します。
齋藤さんは、メボソムシクイ上種3種の研究をもとに、バンダーの現場を想定した3種の識別ガイドの提案があります。大西さんは、3名の発表を受けて、バーダーからの立場から識別ガイドをつくる上でのコメントをします。
また16日の一般講演では、以下の識別に関する講演もあります。
小倉 豪 セジロタヒバリとコセジロタヒバリの識別
小田谷嘉弥 非繁殖期におけるヤマシギの年齢識別と換羽
識別ガイドをどうつくるべきかという点で、重要な内容がそれぞれの講演に含まれていると思います。
これらの諸講演を受けて、日本の識別ガイドを作成する上で、どのような点を考慮することが重要かを共に理解したいと思います。
以下の4点について確認することが重要と考えます。
1)スベンソンさんの識別ガイドの日本の標識調査における貢献
原書にあった229種のうち日本にかかわりのある148種について2011年の訳書ではとりあげられています。2012年日本鳥類目録第7版のリスト掲載種のエクセルファイルにSvenPage欄をつくってページ数を入れて行くと125種を入れることができました(23種については、第7版には掲載されていない種ということになります)。
次に2013年度標識調査報告に1961年〜2011年までの50年間の日本における種別放鳥数(総計約500万羽)が掲載されているので、スベンソンのガイド(訳書)が扱っている種の総放鳥数はどうかを明らかにしました。
種別放鳥数をPDFファイルの範囲指定でとってきて和名・学名一覧のある
エクセルファイルにいれます
他に次のような情報を入れます。
鳥のグループ名(1〜3) 非スズメ目(1)、スズメ目(2)、外来種(3)
スベンソンガイドにある種(1)、ない種(0)
放鳥数の桁数 1〜9(1)、10〜99(2)、100〜999(3)、
1000〜9999(4)、10000〜99999(5)、100000〜999999(6)
容易に集計ができます。
50年間の約500万羽の総放鳥数のうち、約80万羽が非スズメ目、
約420万羽がスズメ目です(他に外来種が約1万)
スベンソンさんのガイドがあるのは99種でした(125種が日本鳥類目録第7版にあっても26種はこの50年間に標識されていない種です)。
50年間の約500万羽標識数のうち99種が占めるのは約300万羽です!
ヨーロッパの識別ガイドなのにこんな役立ちます。ヨーロッパと日本は同じく旧北区(Palearctic)であることを実感できます。
2)どういった種を識別ガイドの候補種とすべきか、その優先度について
残りの約200万羽のうち、非スズメ目は約80万羽、スズメ目は約120万羽です。
ここで桁数分析をします。
4〜6桁の放鳥数がある102種で198万羽とほとんどを占めます。102種のうちわけは、
非スズメ目が64種、スズメ目が37種、外来種1種です。
ここから識別ガイドを作成する優先順の戦略ができます。
第一段階は、6桁(5種)および5桁(37種)の計42種の識別ガイドをつくることでしょう。
第二段階は、4桁の計60種のガイドをつくることになります。
その一覧を以下に示します。
識別ガイド候補第1弾、第2弾リスト(須川恒作成 2014年11月12日 スベンソンさんとの京都会見資料より)
この種についての補遺的なガイドが出版されれば、日本の鳥類標識調査は大きく前進することでしょう。
3)どういった識別ガイドをつくるべきか
写真も大切だが、それ以上にポイントを示したイラストが大切(誰が描けるか)。
スベンソンガイドの概念に慣れることが大切 コンパクト性(記述の分量は?→スベンソンガイド参照)
スベンソンさんが1964年に作成した識別ガイドのプロトタイプ作品は氏が23歳の時!
別に日本人でなくても東アジアのセンスのある誰かがつくれば共有できる!
4)誰がつくるべきか 102種に多くかかわった人の識別ガイド(現場における課題)、標識調査マニュアル
(効果的に調査を進めるうえでのテクニックなど)に関する情報をまとめることが大切。現場感の
ある情報集ができる。
別チームが識別ガイドを作成するとしても、ポイントがしぼりやすくなり血の通った識別ガイドができる。
5)研究としての課題 日本産鳥類における新見解、ヨーロッパ個体群との違いなど → 学術誌による公表
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講演要旨
セッションT 基調講演
■手の中の野鳥 ―死体であれ生体であれ―
ラーシュ・スベンソン
□和文講演要旨
A bird in the hand ? dead or alive! 手の中の野鳥 −死体であれ生体であれ−
Lars Svensson(訳:仲村昇)
まず、どのようにして私がバードウォッチャーとバードリンガーになったのかをごく手短に振り返ります。私にとって特に重要な勉強の場だったのは、オッテンビー(スウェーデン南東部)、カプリ島(イタリア)、エイラット(イスラエル南部)の鳥類観測ステーションでした。
次に、ヨーロッパにおける鳥類標識調査の基本的事項、スウェーデンで放鳥・回収された注目に値する回収例について紹介します。
私は早い段階で、生きた鳥を手に持っても、求めている答えが常に得られるとは限らないことに気付いたので、博物館のコレクションを検討するようになりました。生きている鳥と、死んでいる標本の両方を扱い、異なる分野から得られた知見を相互作用させることでしか、種同定、性判定、齢判定に関する詳細な知識を得ることはできません。生きた鳥と死んだ鳥の両方を研究することは、換羽の研究にも役立ちます。
私が仮剥製標本(study skin)の研究を始めたのは地元スウェーデン、ストックホルムのNaturhistoriska
Riksmuseet博物館でした。この博物館は、108,000点の充実した鳥類剥製標本を所蔵しており、その中にはスウェーデンや欧州各地、中東、南米、国後、カムチャツカ産の貴重な標本群も含まれています。私があまりにも頻繁に訪れるため、やがて学芸員は、私が夜中に訪れたくなったときにも入館できるように、個人用の合鍵と入館証を与えてくれました。
本剥製との関連で、仮剥製の定義について説明し、世界最大規模の博物館コレクションが所蔵する仮剥製標本の点数に関する統計を紹介します。世界の上位20位のコレクションに占める米国の博物館の優位は特筆に値します。世界には、概算で8百万点の仮剥製標本が存在すると推定されます。
博物館にそれほど多くの鳥標本が本当に必要なのか、という疑問について触れます。私の見解では、このような多数の標本の価値については疑問の余地はありません。その活用方法として、以下が挙げられます;分類学、書籍の執筆、野外調査、DNAサンプル、羽毛中の有毒物質、羽毛の同位体、換羽の研究、地理的変異、性的二形、標識調査用識別ガイドの編纂。
適切に管理された大規模な仮剥製コレクションがもたらす利点のうち、私にとって最も重要なのは、もちろん、標識調査の識別ガイドを編纂するための参照資料としての利用です。1959年から1965年にかけて、私は標識調査に夢中となり、観測ステーションで働いていましたが、当時存在していた識別ガイドは不適切であることに気づきました。私は、より良い識別ガイドを作るための計画を練り、翼の形を描いたり、重要な測定値やデータを一定の書式で詳細に記録するようになりました。この頃私はストックホルムのGraphic
Arts 大学で修士課程の研究を終えるところで、大学卒業検定の成果として1964年に作成した本が、今回日本語に翻訳された本の原型となっています。この本はスウェーデン語で、翼式に着目(focus)したものでした。1970年には「ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド」の初版が出版され、1975年、1984年と1992年に改訂及び拡大されてきました。これまでにこの本は、日本語以外ではフィンランド語、ハンガリー語、カタロニア語、中国語に訳されてきましたが、スウェーデン語、ドイツ語、フランス語版は存在しません。
振り返ると、私の本がヨーロッパの代表的な識別ガイドとして44年間存在し続け、アジアの2か国の言語に翻訳されたことには、誇りを感じます。
仮剥製の研究は、科学的なコレクションの訪問許可さえ得られれば、それほど複雑なことではありません。使用する器具は単純で安価です。私は初めのうちは何冊ものノートに記録を取っていましたが、ノートパソコンとインターネット、いつでも参照可能な電子化されたガイドブックや文献の出現により、全ての物事がより単純かつ効率的になりました。
他の測定値よりも、正確かつ再現性高く測定することが難しい測定値として、全嘴峰と尾長を取り上げます。死んだ鳥と生きた鳥から得られた測定値を比較するには、吟味された測定方法を使う必要があることを知っておくことが重要です。識別ガイドには仮剥製から得られた測定値が含まれていることが多いので、バンダーがこれらを参考にする場合には、比較可能な測定値をとる必要があります。
仮剥製を利用する場合の困難さや不足する点を挙げ、簡単に説明します:既存コレクションに一部の分類群が乏しいこと、サンプル地点の地理的偏り、春の雄が多いこと、換羽中の個体が少ないこと、種・亜種・性・齢を誤同定された標本の存在、翼下面の観察が困難、剥製師の技量によってはフショ測定が困難、不十分なラベル情報、質の悪い仮剥製。
参考までに、フィンランドで提案された、剥製標本を平たく作成する方法を紹介します。幸い、この方法は流行しませんでした。
まとめとして、大規模な標本コレクションを訪問するとどのような光景が見られるのか、重要なコレクションの写真をいくつか紹介します。そして、私のバンダー用識別ガイドの日本語版が出版されたことは終わりではなく、東アジアのスズメ目を網羅する完全に新しい日本語の識別ガイドの作成に向けた始まりであり、その手本やたたき台として役に立ってほしいと強く願っていることを表明します。
Lars Svensson, lars(at)lullula.se
ウプサラ大学名誉博士(独学)
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□英文講演要旨(原文)
A bird in the hand ? dead or alive!
Lars Svensson
After a very brief retrospect of how I became a birdwatcher and bird ringer, with important learning time at the bird observatories Ottenby (SE Sweden), Capri (Italy) and Eilat (S Israel), some basic facts about bird ringing in Europe are given. A few examples of remarkable recoveries of birds ringed or found in Sweden are also presented.
An early realisation that holding a live bird in the hand would not always give the required answers, lead to the consultation of museum collections. Only by handling both live birds and dead specimens, and let these two disciplines interact, would a thorough knowledge of identification, sexing and ageing be achieved. Moult studies would also benefit from the study of both live and dead birds.
My first attempts with the study of skins began ‘at home’, at Naturhistoriska
Riksmuseet in Stockholm, Sweden. The museum holds a decent bird skin collection
of 108,000 specimens with valuable series of birds from Sweden and parts
of Europe, Middle East, South America, Kurile Islands and Kamchatka. I
became such a frequent guest that in the end the curator supplied me with
personal keys and a pass so that I could visit in the middle of the night
if I wanted.
The
definition of a skin in relation to a mount is explained, and some statistics
of the number of skins existing in the largest museum collections are
presented. The dominance of American museums among the 20 largest collections
in the world is noteworthy. It is estimated that roughly 8 million bird skins
exist in museums around the world.
The
question whether so many birds in museums are really needed is touched upon. In
my view there is no question about the value of such large numbers, and I list several
reasons for this (taxonomy, book writing, field research, DNA sampling, toxics
in feathers, isotopes in feathers, moult studies, geographical variation,
sexual dimorphism, compiling ringers’ guides).
The last-mentioned of the above listed advantages with access to a large
and well-kept skin collection, serving as reference when compiling a new
ringers’ guide, is of course something which is very near to my heart.
At the time when I became hooked by bird ringing and served at bird observatories
? this was in the years 1959?65 ? I realised that existing guides were
inadequate. Plans were formed to create a better guide. I started to take
detailed notes, draw wing shapes and give crucial measurements and data
in a repeated formula. At this time I was finishing my post-graduate studies
at the School of Graphic Arts in Stockholm, and in 1964 the prototype of
the book you have translated into Japanese appeared as my graduate exam
achievement. This was in Swedish and focussed on wing formulae. Then, in
1970, The first edition of Identification Guide
to European Passerines was published, and this was later followed by
revised and successively expanded editions in 1975, 1984 and 1992. The book has
over the years been translated apart from Japanese into Finnish, Hungarian,
Catalan and Chinese, but no edition exists in Swedish, German or French.
In retrospect it is not without pride I note that my book has remained
the leading European ringing guide for 44 years and been translated to
two Asian languages.
The study
of skins is uncomplicated as such once you have got permission to visit a
scientific collection. Tools are simple and inexpensive. Early on I made notes
on paper in a series of notebooks, but everything became simpler and more
effective with the advent of portable laptop computers and the access of
internet, and of electronically stored handbooks and references ever present.
A few
measurements are more difficult to take correctly and consistently than others,
and two examples are discussed, bill to skull and tail length. It is important
to appreciate that selected techniques allow comparison of measurements taken
both from dead and live birds. Handbooks usually contain biometrics from skins,
and if these are consulted by ringers they better take comparable measurements.
Other
difficulties or short-comings in the use of skins are listed and discussed
briefly (scarcity of some taxa in collections, geographically uneven sampling,
dominance of spring males, scarcity of moulting birds, misidentified species,
subspecies, age or sex, difficulty to examine underwing, tarsi difficult to measure
depending of taxidermists’ technique, inadequate information on labels and poor
quality of the skin). As a curiosity a Finnish proposal to prepare flat skins
is shown. Luckily it did not become popular.
In conclusion I show some images from a few important and large collections
to give a certain idea of what to expect when visiting. And I express my
strong wish that the translation of my ringers’ guide into Japanese is
not the end but a start, and that it serves as a model and inspiration
for the creation of a completely new Japanese guide to all the passerines
in East Asia.
Lars Svensson, lars(at)ullula.se
self
taught, PhD HC Uppsala University
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セッション U 講演要旨
■コジュリン雄の羽装変化と囀りの個体変異
千葉 晃(日本歯科大学新潟生命歯学部)
目的:コジュリンEmberiza yessoensisの外部形態は分類学的観点から記載されており、近年標識調査で得られた知見も加えて検討されている(茂田,1992)。しかし、情報はまだ充分とは言えず、引き続き識別に有用な各種知見(個体変異、地理的変異、成長や加齢に伴う変化等)の収集と蓄積が必要と思われる。演者は、福島潟(新潟市北区)における本種の生活史解明を主目的として、2009年から野外調査を実施してきた。この度は、本シンポジウムのテーマに焦点を合わせ、コジュリン雄の羽装変化を中心に、囀りの声紋(ソナグラム)を比較した結果を報告する。
方法:標識調査は所轄官庁の許可を得て2010年4月下旬から開始し、主に早朝(午前4時〜8時頃)囀りの聞かれる草地を中心にカスミ網(ATX)2〜7枚を設置し、捕獲を試みた。捕獲個体は、すべて金属リングと共に色足輪を装着し、個別に計測と写真撮影を行い放鳥した。そして、再捕獲と野外観察を繰り返し、外部形態に関する情報を収集した。また、囀りは市販のICレコーダーを用いて音源から5~40mの距離で録音し、Raven
Lite Ver. 1.0 software (Bioacoustic Research Program, Cornell Lab. Ornithol.)
を用いて声紋に転換・記録した。
結果:本種の羽装は明瞭な性的二型を示すが、調べた体サイズ(翼長、尾長、フショ長、嘴峰長、体重)で性差の明瞭な部位は、翼長だけであった。3月末から4月に捕獲された雄成鳥では、冬羽の個体はごく少なく、大半が頭部に黒色が目立ち始めた夏羽への移行段階にあった。しかし、その進行程度は0歳や1+歳で比べた範囲で年齢とは無関係のように思われた。また、嘴の色に関しても同様であった。同一年の繁殖期に複数回撮影もしくは捕獲された同一雄の外形を比べると、頭部は摩耗と一部換羽により黒色に変化し、風切羽や尾羽では摩耗と褪色が明瞭であった。体羽の摩耗は雨覆や胸腹部でも見られ、概観した場合、後者は全体に白味が増すように見えた。9月に入ると雄成鳥は換羽を始め、黒色の嘴は基部が肉色に変わり、下旬には頭部に褐色の冬羽が認められるようになった。一方、4~5月に捕獲された雌成鳥の外形(頭部の羽色と嘴の色)を比べると、頬の褐色部の濃淡やバフ色の眉部の目立ち易さ等に個体変異が認められ、5+歳の雌では若齢の個体より頬や顎線がより暗色で、加齢による変化を示すものと推察された。なお、この個体では、春から夏にかけて頭部の暗色化が進み、雌でも摩耗による冬羽から夏羽への変化があるものと判断された。幼鳥の羽装を比べた際、胸に褐色斑があるものと無いものがいる事に気づいたが、これが性差によるものか否かは不明である。幼羽から第1回冬羽への変化は全換羽で、9月~10月に認められた。また、11月静岡県で回収された雄の若齢個体は既に第1回冬羽に変化していた。本種の囀りは、声紋において同属のアオジやホオアカのものより単純であった。一方、種内の個体変異は大きく、それらの特徴は個体の野外識別に役立った。同一個体の声紋は、調べた複数年の間に殆ど変化する事はなかった。
■日本産と外国産のメジロZosterops japonicus の識別
― 密猟と違法飼育の防止 ―
茂田良光(公財・山階鳥類研究所保全研究室)
日本では,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)により日本産の野鳥は許可なく捕獲することも飼養することも法律で禁じられている。2012年3月までは一世帯1羽に限りメジロZosterops
japonicusは,愛玩飼養が許可の下に認められていたが,2012年4月から原則として愛玩飼養が認められなくなった。
メジロは容姿が愛らしく鳴き声がよいため,日本や中国,台湾では多くの個体が愛玩用に飼われ,雄鳥の囀りを競う鳴き合わせ会は現在も日本でも行われている。
外国から国内に輸入された鳥類は許可なく飼養できるため,多くの個体が国内で不法に捕獲され,輸入された外国産の鳥として飼養されている。このような密猟と違法飼育の解決には,外国産のメジロと国内産のメジロを識別することが不可欠であり,日本産と外国産のメジロを識別する方法が確立されれば,違法捕獲や違法飼育を防止する有効な対策となる。
メジロZosterops japonicusは日本産として6亜種または7亜種,外国産は2亜種に分けられている。北海道に分布するメジロは,Kuroda(1951)により亜種エゾメジロZosterops
japonicus yesoensisとして分けられたことがあり,亜種として認められることもある。韓国産のメジロは基亜種メジロZosterops
japonicus japonicus に含められているが,全く同一の羽色とサイズとは言えない。
メジロの各亜種は,互いに類似していて識別が難しいが,日本産か外国産かを識別できれば,違法を摘発し防止することが可能となる。ここでは,亜種エゾメジロを含むメジロの各亜種,および近縁種チョウセンメジロZosterops
erythropleurusの分布と識別,性と齢の識別について解説する。各亜種の識別は,日本産と外国産のメジロを識別するのに役立つのはもちろん,押収されたメジロを放鳥する際に異なる亜種の分布域に放鳥することを防ぐにも有効である。
メジロの日本産の7亜種は,亜種メジロZ. j. japonicus,亜種エゾメジロZ.
j. yesoensis,亜種シチトウメジロ Z. j. stejnegeri,亜種イオウトウメジロZ.
j. alani,亜種ダイトウメジロZ. j. daitoensis,亜種シマメジロZ. j. insularis,亜種リュウキュウメジロZ.
j. loochooensis,外国産の2亜種は,亜種ヒメメジロ Z. j. simplexと亜種ハイナンメジロZ.
j. hainanus である。各亜種の識別には,羽色と各部位の測定値が重要である。
■3種に分かれたメボソムシクイの分類学的再検討の経緯と各種の識別について
齋藤武馬 (山階鳥研・自然誌研)
メボソムシクイPhylloscopus borealis (Blasius 1858) は,これまで3~7つの亜種を含む多形種と認識されてきたが(Ticehurst
1938, Vaurie 1954, Williamson 1967, Dement’ev & Gladkov 1968, Watson
et al. 1986, Cramp 1992, 日本鳥学会2000, Dickinson 2003, Bairlein et al.
2006),演者とその共同研究者による一連の研究において,3つの独立種に分割された(Alstrom
et al. 2011, 齋藤ら 2012).すなわち,コムシクイ Phylloscoups borealis
Arctic Warbler,オオムシ
クイ P. examinandus Kamchatka Leaf Warbler,メボソムシクイ P. xanthodryas
Japanese Leaf Warblerである(図 略).この分類学的見解は,世界の鳥種のチェックリスト(Gill
& Donsker 2012)や,日本鳥類目録改訂第7版でもすでに採用されている(日本鳥学会
2012).この分類学的再検討の根拠は,分子系統樹における明確な系統群の単系統性と,それら系統群の分岐年代の古さ
(Saitoh et al. 2010),音声形質の違い(Alstrom et al. 2011),外部形態の違い(Saitoh
et al. 2008)による.
このうち,前者の2つは違いが明瞭であるが,外部形態については,野外における観察や標識調査において,その違いを認めることはしばしば困難な場合が多い.なぜなら,種間の外部形態の違いはそれほど大きいものではなく,一部の個体については判別分析による種判別が難しいこと(Saitoh
et al. 2008),羽色の違いが僅かであること(Ticehurst 1938, Williamson 1967,
齋藤ら 2012)による.さらに種の識別を難しくしているのは,3種は雌雄同色であるため,野外観察や標識調査を行っている最中は,繁殖
期を除くと囀りや抱卵斑の有無を確認できず,雌雄の識別ができないことである.このため,渡り途中の個体では,計測値の違いが種の違いによるものなのか,性差による違いなのか区別できない.このことが外部形態による種の識別をさらに難しくしている.
本講演では,これまでの分類の再検討の経緯を DNA 解析,音声解析から説明するとともに,標識調査において
3 種の識別を外部形質から行う方法について解説したい.本講演が外部形態による識別が難しい,メボソムシクイ上種
3 種の識別の役に立つことを願う.
■野外識別を楽しむ ― バードウォッチャーの出来ること、望むこと ―
大西敏一(大阪市)
バードウォッチングには様々な楽しみ方がある。なかでも野外識別(Field Identification)は奥が深く、醍醐味もあり、一部に熱心なファンを持つ。
野外識別の方法には、@「フィールドマーク」、A「鳴き声」、B「JIZZ」、C「細部識別」などによるものがある。略記すると、@は顔が赤い、腹が黒い、翼に白斑がある、脚が黄色いなど身体的な特徴によって、Aは地鳴きや囀りなどによって、Bはその鳥が持つ独特の体形、動作、姿勢などによって、Cは初列風切の突出量や翼式、嘴峰長と翼の突出量との比率などバンディング的なアプローチによって、それぞれ識別をする方法である。
「JIZZ」と「細部識別」による方法は、近年、日本のバードウォッチャーにも浸透してきた感がある。かつてこの2つは、ヨーロッパのバードウォッチャーの間で論争が絶えなかったが、その結果、野外識別のレベルが上がり、図鑑(フィールドガイド)の質が飛躍的に改善されていく要因となった。
前述の4つの方法は、おもに種を識別する際に用いられるが、年齢や性別の判定を行う際には「換羽」についての理解が非常に重要になってくる。特に識別の難しい種においては、多くの場合、その個体の年齢の判定が出発点となり、同様の羽衣をまとった類似種との比較が可能になるからである。
演者は、欧米におけるフィールドガイドや「JIZZ」と「細部識別」の論争に見られる野外識別の歴史を紹介するとともに、日本のバードウォッチャーが野外識別で新たな知見に貢献した事例を紹介し、バードバンディングと『識別マニュアル』に望むことなどを述べたい。
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指定講演要旨
■オオジュリンに頻発する異常羽毛出現頻度
尾崎清明(山階鳥類研究所)
オオジュリンはユーラシア大陸に広く分布するホオジロ科の小鳥で、国内では北海道と本州北部で繁殖し、本州中・南部、四国、九州などで越冬する。日本全国で年間1.5−2万羽が標識放鳥され、1961年からの累計は約44万羽となり、これはアオジの約90万羽に次ぐ放鳥数である。渡り期や越冬期の主要な生息環境はアシ原であり、標識調査で捕獲される率が高く、移動回収記録も数多く得られている。
2011年10月新潟市福島潟鳥類観測ステーションで、環境省の鳥類標識調査を実施中、捕獲されたオオジュリンの尾羽に異常が確認された。その異常は、中央付近の尾羽の羽弁に多くの虫食い状の穴が開いており、拡大すると羽枝に形状異常があり、その部分の小羽枝は欠落している。さらに、各羽の長さが5〜10mm長短があることも観察された。
これは同地では過去に見られたことのない現象であったので、全国のバンダーに呼びかけ、2012年春までに福島県から鹿児島県までの14県17か所のデータが集まった。そして、尾羽の異常が5,541個体中767個体(13.8%)で記録された。すべての調査地で異常が認められたが、その割合にはばらつきがあり、100羽以上放鳥した調査地で最も高かったのは、静岡県磐田市(25.6%)、次いで島根県安来市(20.1%)であり、最も低いところは東京都大田区(1.6%)であった。いずれの調査地でも、尾羽異常個体はほとんど幼鳥であった(97.3%)。
その後も記録を収集しているが、オオジュリンに関して2012-13年は19.8%(4,961羽中980羽)、2013-14年は23.2%(8,221羽中1,904羽)で異常が見つかっており、その割合は増加している。さらにアオジやノゴマにも率は低いが同様の現象が確認されている。
一般的に羽毛の異常の原因については、@外部寄生虫、Aオウム嘴羽病、B栄養不足、C甲状腺異常、D放射性物質や農薬など化学物質による影響、などがあげられる。しかしながらこれまでのところ、今回見られている異常の原因としては、@〜Cの可能性は少ないと推測している。Dの放射性物質による影響に関しても、チェルノブイリでツバメに見られた異常とは異なっており、またオオジュリンの一部個体は福島県の放射線の高い地域を通過するものもいると思われるものの、短期間の滞在で遺伝子への影響を受けるようになるとは考えにくい。
現在は更なる情報収集と、異常部分の微細構造、換羽との関連を調査しているが、原因究明を含んだより詳しい調査が求められている。
(この研究は、三井物産環境基金東日本大震災復興助成を受けて行われている。)
■新潟県における鳥類標識調査
本間隆平(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
事始め:黒田(1966)は、1937年から1943年の7年間に新潟県葛塚村(現新潟市豊栄)で放鳥されたスズメの回収状況を報告しており、これにより、この頃既に新潟県で鳥類標識調査が行われていた事が分かる。その後、1960年(昭.35)、東京で開催された国際鳥類保護会議で標識調査の実施が決議され、山階鳥類研究所が調査を開始したが、それまでの間の状況は不明である。
黎明期:1961年(昭.36)から3年間にわたり、林野庁は調査体制を充実させるため山階鳥類研究所に委託して調査適地選定等の予備調査を実施した。新潟県には、1965年(昭.40)に柏崎市へ、翌1966年(昭.41)に新潟市へ同研究所吉井正氏が訪れ、新潟県野鳥愛護会会員を指導された。指導を受けた会員が中心になり、この調査に関心を持ったメンバーが柏崎市悪田、新潟飛行場(1966)、佐潟(1968)、信濃川(1968・69)、福島潟(1969〜1972)などで標識調査を実施して来た。中でも1971年(昭.46)、山階鳥類研究所の協力を得て長い間福島潟において実施されてきたスズメの有害鳥獣駆除の実態を調査・検討し、目的外の鳥類が多数捕獲されている事を明らかにし、実施内容が不適切である旨を新潟県に申し入れ、これを廃止に導いた成果は特筆に値する。
発展期:標識調査ができる会員が次第に増加した事を受け、新潟県野鳥愛護会では県の委託事業として、1982〜86年(昭.57〜61の5か年)に大河津分水付近の信濃川河川敷で養鯉業及び稲作に被害を及ぼすゴイサギ、ニュウナイスズメ、ムクドリ等5鳥種の生息状況を調べるため標識調査を行った。この過程でも多くの愛護会員が調査に参加協力し、調査技術を習得している。
充実期:このような状況の下、1972年(昭.47)には福島潟に1級鳥類観測ステーションが、柏崎市悪田には2級ステーションが建設され、さらに1979年(昭.54)、福島潟1級ステーションでバンディング講習会が開始された。標識調査に関心を持つ愛護会員が増加し、これを受講してバンダーの資格を得た会員が県内各地に独自に網場を開くようになった。この過程では、1987年に小松吉蔵氏が新潟市関屋海岸林に開いた網場で調査技術を学び、一定レベルに達してから講習会に臨んで資格を得た者が多い。
現況: 1987年(昭.62),各バンダーの情報交換、技術研修などを目的として‘日本鳥類標識協会にいがたグループ’が結成された。現在、山階鳥類研究所の認定を受けたバンダー44人、バンダーを目指す者約20名、合計64名の会員が協力し合ってチームを作り、新潟県内の19地域で調査を実施している。それぞれの調査地を自然環境別にみると、河川・湖沼等の湿地9か所、海岸林2か所、水田地帯の山林など2か所、丘陵地帯3か所、湖沼1か所と多様である。
この度新潟市で全国大会を開催するにあたり、これらの中から10か所の作業状況をポスター発表で紹介することとした。各位の積極的かつ有意義なご意見を頂きたいと希望している。
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一般講演要旨
■セジロタヒバリの外部形態の変異および亜種コセジロタヒバリの識別について
小倉豪(韓国国立公園渡り鳥研究センター)
セジロタヒバリAnthus gustaviはペチョラ川西部からチュクチ半島、南はエニセイ川中流域からレナ川中流域、カムチャツカ、コマンドルスキー諸島、ハンカ湖周辺に分布し、非繁殖期にはフィリピン、ボルネオ北部、ワラセア等に渡る(Alstrom
et al. 2003, Tyler 2004)。地理的変異は繁殖分布の大部分を占める基亜種 gustavi
のほか、コマンドルスキー諸島等に分布する亜種 stejnegeri、ハンカ湖周辺に局地的に分布する亜種コセジロタヒバリmenzbieriの3亜種(日本鳥学会
2012)もしくはstejnegeriを基亜種に含め、2亜種が認められる (Gill & Donsker
2014)。コセジロタヒバリは囀りが異なるため(Lenovich et al.1997)、独立種として扱われることもあり(Lenovich
et al. 1997, Nechaev & Gamova 2009)、ミトコンドリアDNAの解析結果から独自の進化や個体群の減少が示唆されている
(Drovetski & Fadeev 2010)。越冬地は不明だが、朝鮮や中国南部、フィリピンで本亜種と考えられる採集記録もある(山階
1934、Hall 1961, Dickinson et al. 1991)。
演者は2010年9月から韓国南西部の黒山島で標識調査を継続している。本種は春期、秋期に本調査地を通過するが、当地での個体群レベルでの移動時期の違いや個体数の変動などについては不明であり、これらを解明するためには、各個体群の識別に関する情報の整理が必要となる。本発表では、本種の外部形態による識別、個体や季節よる羽衣の変異のほか、コセジロタヒバリと考えられる個体の特徴について報告する。
本種のうち、明らかに広義の基亜種と思われる個体においても、上面や下面、尾などの各部位の羽色や模様にはある程度の変異が存在する。摩耗や退色等も考慮する必要もあるが、性・齢や地域差などに起因するのかにはついては不明である。コセジロタヒバリは基亜種と比較し、体サイズが小さいこと、上面の赤茶褐色が少なく、より緑灰色味があり、頭頂や上背の縦斑の幅がやや太いことにより区別されるが(Dementiev & Gladkov 1954, Cramp 1988、Alstrom et al. 2003)、これらの特徴に合致する個体はいずれも翼長が平均よりも小型で、大型のものでは確認できなかった。また、コセジロタヒバリでは基亜種より下面のバフ黄色や下尾筒のバフ色が強いとされるが(Dementiev and Gladkov 1954, Cramp 1988)、土壌の色素の付着など外的な要因によって羽色に変化が生じる可能性もあり、識別点としての有効性については検討の余地が残った。
今回の検討の結果から、羽衣の特徴や雌雄の判別を考慮した上で計測値を用いて総合的に判断すれば、コセジロタヒバリかどうかの判別は大部分で可能であると推測される。捕獲時に採集している血液サンプルから遺伝子型を解析し、性判別や繁殖地を推定し、外部形態の比較結果との整合性を確認することが今後の課題である。
■非繁殖期におけるヤマシギの年齢識別と換羽
小田谷嘉弥(鳥の博物館/筑波大学大学院生物科学専攻)
ヤマシギは国内の標識調査ではしばしば捕獲されるが、標識調査のマニュアルが作られていないため、年齢査定を行うことは一般に難しい。Prater et al.(1977)によれば、ヤマシギの年齢識別のポイントは、(1)初列風切先端の摩耗、(2)初列雨覆の模様、(3)尾羽の模様の3点であるが、これらの基準が日本国内での個体群に適用できるかどうかはわかっていない。しかし、個体群のモニタリングや生態研究を行うためには、日本国内における本種の年齢識別方法を確立することが重要である。そこで、本研究では、非繁殖期に標識調査で捕獲したヤマシギの年齢の識別と換羽状況の記録を行った。
標識調査は、2012/13年と2013/14年の10月から3月にかけての渡り時期および越冬期に、茨城県および千葉県において実施した。捕獲は、タモ網とライトを用いた方法(Bub
1995)を用いて行った。5か所で合計66個体を新規に捕獲標識し、各部測定と換羽状況の記録、および写真撮影を行った。37羽を成鳥、29羽を幼鳥と判定した。
1シーズン目に捕獲した個体のRtが2例あった。いずれも成鳥と判定して放鳥しており、再捕獲時の羽衣に大きな変化は見られなかった。初列風切先端の摩耗、初列雨覆、尾羽の幼羽は年齢識別に有効であると考えられた。初列風切先端は、10~12月には成鳥ではほとんど摩耗しておらず、幼鳥では小~中程度の摩耗であり、1~3月には成鳥では新鮮〜小程度の摩耗、幼鳥では中程度の摩耗が認められる個体が多かった。初列雨覆は、多くの個体については典型的で識別が容易だったが、中間的で識別の難しい個体がいた。幼鳥において、尾羽に幼羽と考えられる短く地色の薄い羽が残っている個体が29羽中7羽確認された。しかし、残りの個体では成鳥と見分けの難しい第一回冬羽に換羽済みであった。2013/14のシーズンには、成鳥の次列風切に旧羽が残っている個体が18羽中6羽確認された。このような個体は越冬期を通じて確認され、換羽が進行中の個体は確認できなかった。
初列風切先端の摩耗・初列雨覆の模様は個体差が大きいが有効と考えられた。第一回冬羽で尾羽に幼羽を残している個体の割合は低かったが、そのような個体については識別可能であろう。成鳥で次列風切に旧羽を換羽している個体は確認されなかったことから、次列風切の旧羽は停止(arrest
molt)していると推定される。これを確認できれば成鳥であると識別できると考えられる。
ヨーロッパの個体群での年齢の識別点は、日本の個体群にもほぼ適用できることが示唆された。これらの識別点を総合的に判断することで、国内での標識調査や狩猟による捕獲個体、および博物館資料などの齢の同定が可能になることが期待される。
引用文献:
Prater T., Marchant J. and Vuorinen J. (1977) Guide to the identification and ageing of holoarctic waders. BTO, Tring.
Bub H. (1995) Bird trapping and bird banding. Cornell University Press, New York.
■ウトナイ湖におけるノゴマの渡り
辻 幸治(日本鳥類標識協会北海道バンダー連絡会)
ウトナイ湖にてバンデイングを開始して22年の中でのノゴマのRC(リカバリー:他所放鳥ウトナイ湖回収)とRCA(リカバリーアシスト:ウトナイ湖放鳥他所回収)約50例を北海道地図及び日本地図に表示して説明する。発表データの詳細はCF「コンパクトフラッシュ」に記録してあり、当日紹介する。(図略)
■繁殖期のノジコEmberiza sulphurataに中山間地のヨシ原は重要か?
○出口 翔大1)・箕口 秀夫2)(1新潟大院 自然科学・2新潟大 農)
ノジコは長距離の渡りを行う東アジア固有のホオジロ科鳥類である。その秋の渡りの中継地として,近年,中山間地のヨシ原が重要な環境であることが報告されている(吉田2007,渡辺2007,2011,2013)。我々が今秋(2014年)に行った新潟県の中山間地ヨシ原におけるノジコの標識調査においても,3日間(ATX
3枚)で154羽の新放鳥がなされた。このことはこれまでの報告を支持する結果である。一方,本種の繁殖地は世界中で日本の本州中部以北だけが知られており,繁殖地の環境はカラマツ林(西2013)や湿原の疎林,低山帯の二次林や林縁(中村・中村1995,日高2006)など多様である。特に低山帯では,林縁に加え水田の耕作放棄後のヨシ原も利用している(金子1979)。そこで本研究では,中山間地のヨシ原がノジコにとって渡りの中継地としてだけでなく,繁殖場所としても重要であるのか調べた。
調査はノジコが高密度に繁殖する新潟県長岡市南西部の中山間地で行った。沢沿いの谷津30サイトを対象として,各サイトに約500mの調査ラインを設けた。2014年5・6月にそれぞれ2回ずつラインセンサスを実施し,ノジコのさえずり個体数を記録した。またArc
GISを用いて,調査地の1/2500地形図とGoogle MapRから各サイトの土地利用面積(水田,耕作放棄田)や地形の特徴(林縁の長さ,谷津の幅など)を抽出し,ノジコの個体数との関係性を解析した。
口頭発表では,解析結果から,繁殖期のノジコにとっての中山間地ヨシ原の重要性を議論する。また,個体識別を行うための繁殖期におけるノジコの捕獲方法についても話題提供する。なお,本研究は第13回こしじ水と緑の会自然保護助成を受けて行った。
■JBBA日台共同鳥類標識調査(2012年〜2014年)
○馬田勝義・茂田良光(山階鳥類研究所)・小倉 豪(韓国国立公園渡り鳥研究センター)
日本鳥類標識協会の日台共同鳥類標識調査は、2012年から3年間行われ、2012年と2013年は秋に、2014年は春に実施された。また、調査期間中に共催したシンポジウムや国立台湾大学で開催された台湾鳥類論壇の2日目に参加し、鳥類標識調査について発表した。今回は主に、2014年の調査内容について報告する。
調査期間
2012年9月24日〜29日、2013年11月16日〜22日、2014年4月16日〜23日
調査参加者
2012年 日本側7名、台湾側は高雄市野鳥学会5名、特有生物研究中心3名、東海大学台湾シギ・チドリ類研究グループ3名、台江國家公園2名、韓国国立公園渡り鳥研究センター1名
2013年 日本側11名、台湾側は中華民国野鳥学会2名、東海大学台湾シギ・チドリ類研究グループほか9名、台湾省野鳥学会2名、国立東華大学3名、太魯閣国家公園ほか4名、韓国国立公園渡り鳥研究センター1名
2014年 日本側7名、台湾側は中華民国野鳥学会1名、東海大学台湾シギ・チドリ類研究グループ2名、台湾猛禽研究会1名、金門大学2名、国立東華大学7名、太魯閣国家公園ほか4名
シンポジウムや台湾鳥類論壇への参加と発表
2012年 9月28日 シンポジウムを共催し、台湾側と日本側から各3名発表
2013年11月17日 台湾鳥類論壇の2日目に参加し、台湾側と日本側から各3名発表
2014年 4月17日 シンポジウムを開催し、台湾側と日本側から各2名発表
調査地及び調査結果
2012年 9月25・26日 高雄市南星(海岸埋立地の防風林) 放鳥数12種35羽
27日 台南市四草(塩田跡) 放鳥数8種11羽
27・28日 台南市七股(河口周辺の林) 放鳥数5種10羽
2013年11月17日 彰化県芳苑郷新宝(耕作地) 放鳥数4種95羽
19〜21日 花蓮県国立東華大学構内(二次林、草地) 放鳥数9種64羽
20日 花蓮県富世村(耕作地、疎林) 放鳥数9種21羽
2014年 4月17・18日 金門県金沙鎮西園(塩田跡) 放鳥数7種19羽
20〜22日 花蓮県国立東華大学構内(二次林、草地) 放鳥数10種57羽
課題
さらに交流を深めて両国の標識調査技術や識別方法の向上、国立東華大学などでの鳥類標識調査講習会の開催などを通じて、標識調査を活発化させ、渡り鳥の回収記録を増やすこと。
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ポスター発表要旨
■福島潟鳥類標識調査15年間の実績報告〜オオヨシキリを中心に〜
南雲 照三(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
(1)調査地の紹介
名称 福島潟
所在地 新潟市北区新鼻
位置 北緯37.54度 東経139.15度
環境 アシ原
(2) 標識調査の概要
調査期間 2000年5月から2014年8月までの15年間
調査の時期 春〜秋の間 平均26日間
設置網の種類と枚数 ATX40枚
協力バンダー 赤原清枝、太刀川勝喜、村上正志、村上真由美、清水武彦、三冨一裕、藤田英忠(敬称略)
他、日本鳥類標識協会にいがたグループメンバー
(3) 標識調査の実績
15年間に40種、計8477羽(Rpを含む)を放鳥した。
調査日数は年により18〜30日、計393日。網枚数は20〜45枚。誘因なし。
最多はオオヨシキリ4890羽(57.7%)、Rtは 588羽であった。
以下コヨシキリ828羽(9.8%)、カワラヒワ813羽(9.6%)、スズメ699羽(8.2%)、シマセンニュウ440羽(5.2%)。
Rc はオオヨシキリのみ
@ 2002/6/2 福島潟初放鳥♂1S → 2002/7/27愛知県田原市田原町UJ回収
A 2002/8/3 福井県敦賀市中池見初放鳥UJ → 2003/5/24福島潟 U1S 回収
B 2002/8/11 愛知県田原市田原町初放鳥UJ → 2003/7/13 福島潟♀1S回収
C 2008/7/26 福島潟初放鳥UJ → 2010/7/18茨城県水海道市UJ回収
マキノセンニュウを2012年6月9日に放鳥。
(4) 識別ガイド作成に貢献する事例
最多種のオオヨシキリは雌雄判別が困難であり、放鳥時の気象条件等外部的要因などにより判別が異なる事例がある。そこで蓄積されたデータを以下の観点から分析した。
@ 雌雄別N.W.(自然翼長)度数分布比較
→♂は84〜90p、♀は79〜84pに概ね分布
A 雌雄別B.W.(体重)度数分布比較
→♂は29〜33g、♀は25〜31gに概ね分布
■瓢湖における鳥類標識調査
本間 隆平・千葉 晃・白井康夫(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
はじめに:1998年、ハクチョウに給餌する‘天然記念物・瓢湖のハクチョウ渡来地’で足もとまで集まる数千羽のオナガガモを見て標識調査を決意した。地元阿賀野市(当時水原町)の了解を得て、鳥獣捕獲許可及び現場変更許可を取得し調査を開始した。多くの観光客が集まる中でハクチョウ類に影響を与えないよう十分注意し、捕獲方法を工夫しながら調査を進めている。
調査結果:
1.オナガガモ:湖面に集まるハクチョウ類やカモ類に直接影響がないよう餌場から50m位離れたところに引き網を設置し、そこまで本種を誘導して捕獲した。
(1)捕獲数(New, Rt, Rc):調査を開始した1998年から2014年までに総数17,476羽(New 16,916,Rt 421,Rc 139)を標識放鳥した。それらの中で、国外での回収例はロシア・カムチャツカを中心に100例余りあるが、フライウエーの異なるアメリカ・ミシシッピ州での回収例も得た。
(2)越冬期間中の体重変化:10月に渡来し3月に渡去する迄の間の体重は、12月が最も重くなり、越冬期間中、同じ個体が滞在するのではなく出入りがあることが示唆された。
(3)渡来期間中の性比の変化:捕獲個体について越冬期間中の性比を調べたところ、渡来初期には雌比率が高く、渡去期に向かって次第に雄の割合が高くなることが分かった。
(4)雄化個体の行動:2001年から瓢湖に飛来するようになった雄化個体について、その行動及び生殖腺の組織像について調べた。
(5)越冬地換羽:2002年から見られるようになった換羽個体について、その行動などについて調査した。
(6)番い形成:10月エクリプスの状態で渡来し徐々に換羽が進み、11月下旬から12月上旬に換羽が終了すると‘囲み追い’が見られ、番が形成される。
2.ヒドリガモ:引き網まで寄ってこないため、広場に上がって来る個体を手捕りや小型タモ網を用いた捕獲により、総数1,189羽(New 937,Rt 252)を標識放鳥した。
(1)番い形成:10月下旬に渡来するとエクリプス状態のまま‘囲み追い’が始まり、番が形成される。
(2)ペアの組合せ:カモ類は、毎年、新たに番を形成するといわれている。回帰率の高いヒドリガモについて調査したところ、ごく一部は前年と同じ個体同士でペアになることが分かった.
3.キンクロハジロ:2001年から池に通じる導水管へ餌を流し、管奥へ遡る個体をタモ網で捕獲し、総数995羽(New 709,Rt 285,Rc 1)を標識した。
(1) 回帰率:回帰率は高く、捕獲数の約40%が再捕獲であることが明らかになった。
(2) 生存期間:捕獲を開始してから現在まで、10年前に捕獲した個体が出ている。
4.雑種:オナガガモ×トモエガモ(雄)及びヨシガモ×ヒドリガモ(雄)について,主に配偶行動について調査した。
終わりに:2006/2007年をピークにカモ類が減少し始め、捕獲数も減少した。さらに、2008年12月には鳥インフルエンザ対策として池の岸辺にネットが張られ広場に餌を撒くことが禁止されたため、引き網の設置場所を変えているが捕獲数は激減している。
■大河と鳥とバンダ―と阿賀野川河川敷(新潟県阿賀野市分田地区)の調査地紹介
村上 正志(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
調査地概要
阿賀野川は福島県・群馬県に源流を持ち、新潟平野を貫いて日本海へ注ぐ日本最大級の一級河川である。この川の河口から上流約22km地点の右岸に広がる河川敷「分田(ぶんだ)地区」が我々の調査地である。
河川敷は、川岸から堤防道路まで幅が約最長600mも有り、ヨシ・オギ・タデ類を中心にミゾソバ・アキノウナギツカミ・カナムグラ・ヤブガラシ・ヘクソカズラ・ノイバラ等が繁茂し、イタチハギとセイタカアワダチソウ等の外来植物が目立っている。高木の大半はヤナギ類で、ポプラ等も見受けられる。川辺では、トビ・カワウ・カラス類・シギチドリ類・サギ類・セキレイ類に出会うことができる。カスミ網で捕獲される鳥種は小鳥類が主体であるが、しばしばフクロウ類やワシタカ類も掛かる。河川敷の自然度はかなり良好で、昆虫は種数・個体数共に豊かである。
この調査場所を選び標識作業を開始したのは三冨氏である。良好な場所であることが分かり、当初は4人で夏期・秋期の調査を開始した。増水等の心配もあるが、充分注意しながら河原に寝泊まりして調査を継続してきた。この間、幕営地はヨシ原からオギ原、さらに土手側の雑木内へと移動している。
調査結果
【夏期】(7月下旬)
盛夏の蒸し暑い河川敷で、汗まみれになりながら調査を実施している。主にオオヨシキリを中心に河川敷に生息している鳥類の捕獲を行っている。オオヨシキリのRc記録は、愛知県田原市渥美半島放鳥したものを当所で回収した事例や当所で放鳥された個体が京都府舞鶴市冠島で再捕獲された事例等がある。
【秋期】(9月下旬〜11月上旬)
例年初秋から調査を開始しているが、この調査地での渡りピークは10月下旬であるため、秋期は調査期間に幅を持たせている(夏鳥の渡去から冬鳥の渡来まで可能な限り多くの鳥種を確認したいためである)。放鳥数の多いものはアオジで、本種が全体の約半数を占める。
調査地内にはヤナギ類の林があるため、山林性の鳥種が河畔林を通過しながら移動している様子が分かる。現地で観察すると、西へ向かう渡りルートもある様で、野鳥の生態や移動は多様で興味が尽きない。発表当日は、これまで得た結果を図表や画像で紹介する予定であるが、鳥種の識別については、以下のような知見を得ている。
・オオルリとコルリの雄幼鳥は雌に似ているが、体は青みがある。
・キビタキやサメビタキ等の幼鳥では、雨覆や上尾筒に白斑のある羽毛が残っている。
・冬羽のオオジュリンにおいて後頸の深部が白色であれば、雄と判断している。
・シマセンニュウの成鳥と幼鳥は喉から腹部の色合いで区別され、成鳥は白っぽく、幼鳥は濁った黄色である。
・フクロウ類、アリスイ、ヨタカの成幼判別は、主に大雨覆の相違に着目している。
調査参加者一覧(順不同)
【バンダー】 赤原 清枝・太刀川 勝喜・清水 武彦・田仲 謙介・小田谷 嘉弥・小川 龍司・佐藤 悠子・
村上 真由美・吉岡 勝雄・南雲 照三・三冨 一裕・田中 秀夫(故人)
【協力者】 北澤 宗大・池田 裕一・池田 まや・佐藤 愛理・伊藤 恭宣・大平 敬典・神林 淳子・
矢部 健吾・川崎 正明・伊藤 浩
■新潟市関屋海岸に於けるリカヴァリー
伊藤泰夫(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
新潟市関屋海岸は日本海に面し人為的に植えられたクロマツを主体とした防風、
防砂林で近年は温暖化や人的管理の不十分更には鳥類による種子散布など、さまざまな要因により常緑、落葉広葉樹や各種草本類が侵入し一部ヤブ状を呈する混交林へと遷移してきた、
当地での標識調査は1987年10月から毎年連続して年間約180日間(前期 3〜6月 後期 8〜11月)ほぼ連日行われ使用網数は当初は10枚前後であったが現在は20〜30枚以上(最大38枚)を常用し設置場所も新しく設け3か所となっている、
2014年6月までの総放鳥数は 10目30科96種 171、101羽 優占種はメジロ ウグイス シジュウカラ アオジ ルリビタキで 75%を占める。 このうちリカヴァリー数は以下の通りである。
関屋放鳥他所回収 他所放鳥関屋回収 総数
県外 11種 78羽 14種 62羽 140羽
県内 129羽 44羽 173羽
計 207羽 106羽 313羽
新放鳥に対し 全体 0.18% 県外のみ 0.08%
海外との記録は今のところない
県外の記録に絞ってみると(放鳥+回収数)
最多種 @メジロ 61 Aアオジ 20 Bシジュウカラ 18 Cウグイス 10 Dシロハラ 7
最多県 @北海道 60 A愛知 9 B富山 7 C京都 6 D青森 5 山形 5
記録のある道府県 30 協力バンダー 57名
当地は日本海側の渡りの重要な中継地とされているが 以上のような記録を地図上に示して各種毎の移動経路を追ってみたい。
■新潟市寺尾中央公園における、春季渡り鳥標識調査
三冨一裕(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
調査地の寺尾中央公園は、新潟市西区寺尾台( 37°53′N, 138°58′E )に位置する面積
64,000 m2 の都市公園で、海岸線より 820 m 離れた砂丘の頂上部から北西向きの緩斜面
( 26 m above sea level ) に広がり、周囲は閑静な住宅に囲まれている。園内には、クロマツを中心に、サクラ・クワ・エノキなどの樹木が多く植栽され、ガクアジサイ・ハナミヅキなどの低木類も多く、これらは野鳥類の隠れ場や採餌場として利用されている。また、
散策の為の歩道や遊戯用施設の他、ベンチ・芝生・花壇・テニスコートなどが設置されているため、春から秋にかけて多くの市民に利用され、朝夕も訪問者が絶えない。
1993年、本州中部以北に夏鳥として渡来し、局地的に繁殖することが知られていた( 日本
鳥学会,1974 )が、繁殖生活の詳細は不明な点が多かったチゴモズ Lanius tigrinus の繁殖生態研究を実施し、1994年、千葉 晃( 日本歯科大学新潟歯学部教授 )氏より、学術による捕獲推薦を受け、環境省(当時環境庁)より鳥獣捕獲許可を、亡 小松吉蔵氏のご尽力にて、新潟市より都市公園使用許可を得て、個体識別法を併用して研究を継続した。その際に、この公園は、渡り鳥の中継地であることが判明し、当時の新潟市公園緑地課と、環境対策課の全面的なご理解とご協力をいただき、継続的な標識調査の実施許可ならびに、公園内に、「この公園は渡り鳥の貴重な中継地であり、標識調査を実施している」ことを告知する看板を設置していただいた。
チゴモズ研究と並行し、渡り鳥を中心とした標識調査を、亡 田中秀夫氏、村上正志氏と共に、4〜 5月の土日に細々と開始し、その後多くの方々からご協力をいただいて、現在は、3月20日から、6月初旬の金〜日と、祭日、可能なだけゴールデンウィークには、連続して実施、かすみ網は、30と36meshの12m網を中心に、28枚を張っている。
捕獲放鳥した鳥種は、83種、公園内に飛来し、確認した種は他に、26種で、2014年からは、鳥研、新潟市関屋海岸林、阿賀野市分田の阿賀野川河川敷網場と同一様式で、共同による学術研究(テーマ:オオコノハズクOtus lempiji の識別)を開始した。
都市公園の為、かすみ網は調査開始の都度、設営、撤去し、一般市民の安全確保の為の、網場周囲にロープを巡らし、パネル展示のチラシを中心に、実施中の徹底を図っている。
オオコノハズク・コノハズク・アオバズクは常連の為夜間の回収が必要で、過去には公園内の東屋を借用したこともあったが、現在は設置許可をいただいたユニットハウス(賃借)を宿泊場所兼調査用具の保管場所として利用している。
<参加者一覧>
三冨一裕・村上正志・吉岡勝雄・赤原清枝・南雲照三・清水武彦・太刀川勝喜・村上真由美・
田仲謙介・小田谷嘉弥・小川龍司・千葉 晃・亡 小松吉蔵・亡 田中秀夫 ( バンダー )
伊藤 浩・川崎正明・石部 久・岡田成弘( 協力者 ) ※日本鳥類標識協会新潟グループ現・元会員北澤宗大・池田裕一・池田まや・伊藤宣恭・大平敬典・神林淳子( 協力者 )
■新潟市佐潟での鳥類標識調査20年間の歩み
千葉 晃・高辻 洋・白井康夫・木下 徹・小野島 学(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
はじめに:第29回標識協会全国大会が新潟市で開催されるのを好機と考え、私達が1993年から実施してきた佐潟(サカタ)での鳥類標識調査の結果概要を20年間の歩みとして紹介する。
調査地の概要:新潟市の西南に位置する佐潟(37°49´N, 138°52´E;標高5m;湿地面積76ha)は、海岸砂丘列の間に生じた砂丘湖(最大水深約1m)で、上潟と下潟(本潟)から成る。潟は地下水で涵養され流入河川は無いが、灌漑用池として長年水田耕作に利用され漁業も営まれてきた。しかし、前者の機能は既に失われ、潟の南側にあった水田はヨシ原に変化し、上潟では樹木の侵入が進んでいる。標識調査は、上潟の南側沿岸に広がるヨシ原を中心に、一部樹林部も含めて実施している。なお、佐潟一帯(佐潟公園)は国設鳥獣保護区、新潟県最初のラムサール条約登録湿地として知られており、東岸には佐潟水鳥・湿地センターがある。
調査方法:調査は1993年から始めたが、初期は適地を探すような内容であった。現在の場所に定めてからは、春季(3月下旬の約5日間)と秋季(10月中旬〜11月上旬まで約9日間)に実施している。ヨシ原内に4本、林内に1本の網場を開き、ATXを28枚と4枚設置し、音声による誘引を加えて午前中(6時作業開始)に作業を行ってきた。最盛期には午後まで調査を延長している。
結果:得られた結果は次のように整理できる。
(1)標識された鳥類:旧鳥類目録(改訂第6版)で整理すると、捕獲鳥種は19科67種を数え、小鳥類(ホオジロ科12種、ツグミ科11種、ウグイス科10種、アトリ科8種、ヒタキ5種等)が46種で、全体の約69%を占める。これらの中にはセッカ(2例)、オオセッカ(1例)、コホオアカ(1例)、シマノジコ(1例)、シベリアジュリン(2例)等、当地での珍奇種が含まれる。
(2)主な鳥種と個体数変化:個体数の多いものは3種で、1994~2013年の20年間の新放鳥総数でみると、オオジュリン11,767羽、アオジ8,246羽、カシラダカ5,244羽の順であった。また、年によってはカシラダカが少なく、ウグイスやシジュウカラが3位に入る場合もあった。一方、数は少ないが例年捕獲されるものに、ベニマシコ、アトリ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、ホオアカ、シロハラ等がある。20年間における秋の新放鳥数は合計30,716羽(再放鳥数合計は1,574羽)で、その範囲と平均は以下のとおりである:新放鳥数(810~2,867羽,平均1,535.5羽)、再放鳥数(28~143羽,平均78.7羽)。このように放鳥数の年変動はかなり大きく、規則性や一定の傾向を示すことはできなかった。また、日最大新放鳥数の範囲は236~689羽(平均405.3羽)、日平均新放鳥数の範囲は101.3〜318.6羽/日(平均143.0羽/日)であった。2001年秋は例外的に多く、2003年秋は例外的に少ない年であった。
(3)オオジュリンの移動:本種は回収例が多く、国外1例(カムチャツカ放鳥・当所回収)の他、国内での事例(範囲は北海道〜九州)が多数蓄積されている。その詳細は当日図表で紹介する予定である。なお、同一シーズン内の回収例から移動速度を推定すると、秋の南下巡行速度は20~60km/dayであった。
(4)識別に関するデータ:種の識別は各種図鑑やガイドを参照しながら進めているが、種内の雌雄や年齢の識別については判定の難しい場合があり、アオジ、カシラダカ、オオジュリンの中にもそのような個体が少数認められ、より詳細なガイドが求められる。個体数はごく少ないが、クイナの計測値と画像を記録しているので、当日はこれらの性や年齢について教示を得たいと思っている。
共同調査者:土屋美幸、小川龍司、酒井康雄(20年の間には、他にも多数のにいがたグループ会員から参加・協力を得たが、紙幅の都合により割愛した。各位に厚く御礼申し上げる。)
■越後の豪農「笹川邸」での標識調査
木下 徹(日本標識協会にいがたグループ)
はじめに
関屋海岸で標識調査をされていた恩師の故小松吉蔵さんを見習い、自宅近くで無理なく行える調査場所を探して、これまで中之口川河川敷や牛舎で集団繁殖しているツバメの調査を行ってきた。しかし、中之口川河川敷は環境が悪いからと地元からの要望で茅原の藪がすっかり刈られたため8年目で調査ができなくなり、一方、13年間行った牛舎での調査は鳥インフルエンザや口蹄疫の流行から遠慮するようになった。次に調査地として目を付けたのが豪農の館「笹川邸」の庭である。
調査地
インターネットの航空写真を見ると、蒲原平野に広がる水田の中に、いかにも野鳥が休みたくなるような屋敷森が見られる。敷地面積が1ha程ある笹川邸の庭には鳥達の好む水場がたくさんあり、姿を隠すための安全な林もある。1826年に建築された建物は国指定の重要文化財に指定されており、新潟市が管理して一般にも公開されている(平成の大合併以前は旧味方村が管理していた)。標識調査実施のため庭園の一部を借用したい旨をお願いしたところ、快諾を得た。
結果
2002年から調査を始め、途中2年間は実施しなかったが、これまでの11年間で38種類672羽を放鳥してきた。しかし、まだRtやRpは1羽も記録されていない。調査は春期の渡りに合わせゴールデンウイーク前後の土日祝祭日に行っている。この頃は周回道路を歩くとたくさんのさえずりが聞かれ一時のにぎわいをみせる。春は夏羽に換羽したオオルリやコルリ、キビタキやコマドリなど目が覚めるような雄の羽色にうっとりさせられている。特に好みはコルリの雄のシックな青である。調査は朝の4時30分頃から網を張り始め一般公開されるために開門される9時までにポールと網を撤収するため約4時間程である。
付近が住宅地であることや管理者が泊まり込みでおられることから声の誘引は行っていないため、捕獲数はさっぱり伸びずにいる。時には渡り鳥のさえずりは多く聞かれるものの、スズメ1羽しか捕れない時もある。さらに住宅地に近いため野良猫が待機していることもあり注意しながらの調査となっているが、春の楽しみの一つであり今後も続けていきたい。
■下越地区におけるノジコの標識調査適地を求めて
木下 徹(日本鳥類標識協会にいがたグループ)
はじめに:新潟県は南北に長い形状をしており、大きく分けて新潟市を中心にした下越地区、長岡市を中心とした中越地区、上越市を中心とした上越地区と佐渡地区の4つに分かれる。
2002年に福井県敦賀市中池見でノジコが多数捕獲されたことを受け、本会役員の渡辺央さんが中越地区の耕作放棄地で調査を行い、本県山間部におけるノジコの移動ルートのひとつを発見した。そこで、中越地区より北に位置する下越地区ではどのルートを通るのか、また、その状況はどうなのかについて調べることにした。まず、インターネットで新潟県の航空写真を眺め、山裾に休耕田がありそうな場所、そこが自宅から車で1時間以内に行ける道路脇である所を選び出し、現地の状況を確かめる作業を繰り返した。その結果、下越地区は中越地区と比べて農地の管理が行き届き、山裾深くまで水田耕作されていることに気づいた。
調査場所及び状況:下越地区における初めてのノジコ標識調査は、2010年に新津丘陵の五泉市菅沢で行った。結果は惨敗。ここは山塊自体が小さいため成果が得られなかったと考え、翌年は越後山脈の麓、五泉市小山田に場所を移し行った。しかし、草丈が短く、アシ原がほとんど見られないことや、この場所には山ヒルが生息しており車の中まで入ったヒルを見て即座に退散した。同年、下越地域の五泉市から200m程中越地区に入った加茂市上大谷に場所を変えてみた。直線でATXを2枚しか張れないほどの小さな谷であったが、ノジコの声を流すと周辺の杉の木から羽音を立てて降りてきて声の音源近くで群れている様子が見られた。しかし、狭くて急峻な谷のため、平らな場所でアシ原が広がり環境が良くなるまで中止とした。2012年からは加茂市下条に調査地を移し、今年に至っている。ここでは、調査初年度から中池見や長岡市比礼との間にダイレクトリカバリーがあり、移動地の繋がりが見えてきた。この場所は1975年では田んぼとして利用されていたことが航空写真で分かる。現在は幅15m×奥行き100m×谷2方向の面積3000u程のアシ原で、部分的に膝まで沈むような足場の悪い放棄された湿田である。舗装された林道脇には栗やドングリの木が多く、熊が出没するのではとドキドキしながら調査を行っている。まして、携帯電話は圏外である。
考察:下越地区では山中の耕作放棄地がほとんどなく、ノジコの調査適地はまだ見つかっていない。昨年新発田市松岡の山裾で4ha程の耕作放棄地を見つけているが地主が分からず実施には至っていないため、2014年も中越地区の加茂市下条で調査を行っている。新潟県内のノジコの渡りは10月上・中旬がピークとなるため、この時期は調査地でカスミ網を撤収せず、毎朝2時間の勤務休暇を得て調査を行っている。
ノジコを効率よく捕獲するためには声による誘引が必須である。昨年までは発電機とCDコンポーネントを持ち込み、出来るだけ大きい音を流すようにしていたが、2013年全国大会の折に中池見で教えてもらった音源の増幅を行い、元音声を8倍にしてCDラジカセと拡声器を組み合わせ、誘引している。また、本種の鳴き声に方言があるかもしれないが、渡辺央さん提供の県内ではあまり聞かないテンポのいいノジコの囀り声が誘引効果の高いことがわかった。
■長岡市比礼におけるノジコ(Emberiza sulphurata)の秋季標識調査
渡辺央*・五十嵐伸吾・井口忠・古川英夫・横山美津子(長岡野鳥の会, *日本鳥類標識協会にいがたグループ)
はじめに
新潟県中越地方の長岡市における標識調査は、1985年から2007年までの22年間は信濃川河川敷を調査地にデータを蓄積してきた。信濃川では福島潟や佐潟など県内平野部のヨシ原と同様に、アオジ、カシラダカ、オオジュリンの3種が圧倒的に多く捕獲された。しかし同属で同じように渡りをするノジコ(Emberiza sulphurata)は、県内に広く繁殖分布し、中越地方では生息密度も高いにもかかわらず信濃川河川敷での捕獲数は毎年10羽前後と少なかった。
新潟県における繁殖期のノジコの主要な生息環境は、中山間地の沢沿いの湿地や放棄水田跡に形成されたヨシ原と低潅木から成る林縁である。このことからノジコは秋の渡りに際してもこのような中山間地のヨシ原を利用している可能性が考えられた。そこで2004年から2008年まで信濃川河川敷の調査と並行して西山丘陵地のヨシ原で毎年場所を変えながら(4箇所)調査したところ、いずれの調査地でも信濃川河川敷では経験したことのない多くのノジコが捕獲された。2009年からは信濃川河川敷での調査を打ち切り、ノジコの繁殖密度がより高い長岡市東山に調査地を移し、2010年から現在の比礼で調査を継続している。これまでの調査によってノジコは秋季の渡りの中継地として中山間地のヨシ原を利用していることが明らかになった。
調査結果
(捕獲数):ノジコの新放鳥数は、2010年(806羽)、2011年(472羽)、2012年(915羽)、2013年(636羽)で年による変動があった。
(捕獲時期):捕獲される時期は概ね10月2日から20日までの間で、この期間内に捕獲数全体の99%が捕獲された。比礼で最も遅い捕獲日は10月29日(1羽)である。日別最大捕獲数は毎年10月8日から14日までの間に記録され、これはアオジより約2週間早い。
(雌雄の識別):雌雄の識別は羽色によって可能で、雄は頭部、腰部の緑色味が濃く、年齢を経た雄の腰部は灰色味を帯びた緑色である。中雨覆に出る翼帯は雌より白い傾向がある。雌は頭部、腰部とも緑色味が淡く、褐色味を帯びる。中雨覆の翼帯はバフ色の傾向がある。
(個体の年齢):虹彩の色によって識別が可能であった。成鳥は虹彩が赤褐色で、幼鳥は灰褐色であった。虹彩と併せて頭骨の骨化指標も有効であった。
(回収記録):ノジコの回収は2010年から記録されるようになった。リカバリーはこれまで敦賀市中池見湿地と県内加茂市との間で次の4例が記録されている。
・2010年10月7日(♀j)長岡市比礼放鳥→2010年10月14日敦賀市中池見湿地回収
・2011年10月18日(♂j)敦賀市中池見湿地放鳥→2012年10月7日長岡市比礼回収
・2011年10月8日(♂j)長岡市比礼放鳥→2012年10月13日加茂市下条回収
・2012年10月8日(♀j)長岡市比礼放鳥→2012年10月12日加茂市下条回収
リターンは2012年に4個体(全て1年経過個体)、2013年に5個体(1年経過4個体、3年経過1個体)記録されている。
■鳥類標識調査地「悪田自然緑地」の保護活動
小林 成光・長谷川 誠・長谷川和正・風間辰夫・松永洸(かしわざき野鳥の会・日本鳥類標識協会にいがたグループ)
はじめに:私たちは鳥類標識調査を通してアシ原の重要性を感じ、柏崎市安政町の海岸近くの「悪田のアシ原」保護活動を行ってきました。ここにその活動の一部を紹介します。
保護活動の記録(年譜)
1965年(昭40)10月、標識調査適地を求め山階鳥類研究所の吉井正氏が柏崎の風間辰夫
を訪ね、悪田で一泊二日の調査を行う(12種79羽放鳥。当時オオジュリンは県内2例目の記録と認定)。国内調査地に山口県角島と柏崎市悪田が選定される。
1966年 標識調査が軌道に乗り、本格化。
1967年 悪田での標識放鳥数が年間4,000羽を超える。
1968年 臨海工業団地建設工事が始まる。ツバメ約5,000羽が塒を別の場所に変える。
1971年 悪田を下水処理場予定地として柏崎土地開発公社が民間から買収。
市長に貯木場建設工事に伴う悪田のアシ原埋め立て計画の中止を願い出る。
市長に宛て、山階鳥類研究所理事長山階芳麿氏が保護を願い出る。(陳情)
市長に宛て、日本鳥学会が保護を陳情。NHKが「悪田のアシ原を残して」を放映。
1972年 環境庁2級鳥類観測ステーションに指定される。(1級9か所、2級21か所)
柏崎港鳥獣保護区(新潟県)に指定される。
1973年 市長に宛て公述申請書「渡り鳥保護のための都市計画一部変更のお願い」を提出。
悪田での年間標識数(37種、4,510羽)を市長に報告し、アシ原の保護を陳情。
1975年 環境庁長官に宛て、悪田の残存を陳情。終末処理場の施設配置決まる。(柏崎日報)
1976年 野鳥のため写真展を開催。県に渡り鳥の休憩地「悪田のアシ原」保護を願い出る。
1977年 野鳥のため写真展その2を開催。新潟県野生鳥獣生態研究会、柏崎グループ自然
教育園としてアシ原を残すよう市長に陳情。環境庁自然保護局野辺忠光鳥獣保護
課長現地視察(県自然保護課長久保幹雄、日本野鳥の会柚木修、田辺県議、小林
市議、柏崎市役所他、柏崎グループ同行)。
1979年 柏崎市が悪田のアシ原を用地買収含む総事業費7,090万円、面積12.800uの「悪
田自然緑地」公園として開設。
1987年 柏崎市長に宛てて、「悪田自然緑地」に隣接するアシ原の保護等を願い出る。
隣接するアシ原の買い上げ、池の造成、浄化センター内の道路使用許可部分の拡
大が行われる。標識調査は毎年行われ、現在に至る。
回収記録:アオバズク(フィリピン)、マヒワ(サハリン)、シマセンニュウ(韓国)、カシラダカ(カムチャツカ)、モズ(岡山)、キジバト(愛媛)、ノゴマ(高知)等、回収例は多数。
要望事項:種、雌雄、年齢が詳細にわかるバンダー向け識別マニュアルの発刊を希望。
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識別ガイド候補第1弾、第2弾リスト(須川恒作成 2014年11月12日 スベンソンさんとの京都会見資料より)
候補第1弾 | 6桁の種 | 計5種 | ||
非スズメ目 | 3種 | |||
SpnamJ | Group | SpnamL | 1961-2011 | Keta digit |
オオミズナギドリ | 1 | Calonectris leucomelas | 102,804 | 6 |
オナガガモ | 1 | Anas acuta | 115,976 | 6 |
ウミネコ | 1 | Larus crassirostris | 126,025 | 6 |
スズメ目 | 2種 | |||
ウグイス | 2 | Cettia diphone | 145,817 | 6 |
メジロ | 2 | Zosterops japonica | 247,179 | 6 |
候補第2弾 | 5桁の種 | 計37種 | ||
非スズメ目 | 13種 | |||
クロアシアホウドリ | 1 | Diomedea nigripes | 14,327 | 5 |
コシジロウミツバメ | 1 | Oceanodroma leucorhoa | 45,326 | 5 |
カワウ | 1 | Phalacrocorax carbo | 10,941 | 5 |
ゴイサギ | 1 | Nycticorax nycticorax | 13,052 | 5 |
コサギ | 1 | Egretta garzetta | 21,014 | 5 |
ヒドリガモ | 1 | Anas penelope | 11,332 | 5 |
トウネン | 1 | Calidris ruficollis | 14,268 | 5 |
キアシシギ | 1 | Tringa brevipes | 16,057 | 5 |
オオセグロカモメ | 1 | Larus schistisagus | 18,726 | 5 |
ベニアジサシ | 1 | Sterna dougallii | 10,609 | 5 |
セグロアジサシ | 1 | Sterna fuscata | 12,593 | 5 |
コアジサシ | 1 | Sterna albifrons | 44,034 | 5 |
ウトウ | 1 | Cerorhinca monocerata | 41,162 | 5 |
スズメ目 | 24種 | |||
ヒヨドリ | 2 | Hypsipetes amaurotis | 42,391 | 5 |
モズ | 2 | Lanius bucephalus | 35,514 | 5 |
ジョウビタキ | 2 | Phoenicurus auroreus | 11,698 | 5 |
クロツグミ | 2 | Turdus cardis | 45,299 | 5 |
アカハラ | 2 | Turdus chrysolaus | 38,805 | 5 |
シロハラ | 2 | Turdus pallidus | 70,556 | 5 |
ヤブサメ | 2 | Cettia squameiceps | 12,373 | 5 |
シマセンニュウ | 2 | Locustella ochotensis | 13,770 | 5 |
コヨシキリ | 2 | Acrocephalus bistrigiceps | 56,629 | 5 |
メボソムシクイ | 2 | Phylloscopus borealis | 30,559 | 5 |
エゾムシクイ | 2 | Phylloscopus tenellipes | 20,364 | 5 |
センダイムシクイ | 2 | Phylloscopus occipitalis | 27,402 | 5 |
キビタキ | 2 | Ficedula narcissina | 34,764 | 5 |
オオルリ | 2 | Cyanoptila cyanomelana | 19,546 | 5 |
ヤマガラ | 2 | Parus varius | 17,158 | 5 |
ホオジロ | 2 | Emberiza cioides | 60,491 | 5 |
コジュリン | 2 | Emberiza yessoensis | 14,034 | 5 |
ホオアカ | 2 | Emberiza fucata | 14,564 | 5 |
ミヤマホオジロ | 2 | Emberiza elegans | 12,956 | 5 |
ノジコ | 2 | Emberiza sulphurata | 12,738 | 5 |
クロジ | 2 | Emberiza variabilis | 27,730 | 5 |
カワラヒワ | 2 | Carduelis sinica | 78,503 | 5 |
ベニマシコ | 2 | Uragus sibiricus | 63,861 | 5 |
ムクドリ | 2 | Sturnus cineraceus | 21,620 | 5 |
候補第3弾 | 4桁の種 | 計60種 | ||
非スズメ目 | 48種 | |||
アホウドリ | 1 | Diomedea albatrus | 3,955 | 4 |
オナガミズナギドリ | 1 | Puffinus pacificus | 1,067 | 4 |
ヒメクロウミツバメ | 1 | Oceanodroma monorhis | 1,609 | 4 |
クロコシジロウミツバメ | 1 | Oceanodroma castro | 7,272 | 4 |
カツオドリ | 1 | Sula leucogaster | 5,480 | 4 |
ウミウ | 1 | Phalacrocorax filamentosus | 2,039 | 4 |
ヨシゴイ | 1 | Ixobrychus sinensis | 1,331 | 4 |
アマサギ | 1 | Bubulcus ibis | 4,229 | 4 |
ダイサギ | 1 | Egretta alba | 2,457 | 4 |
チュウサギ | 1 | Egretta intermedia | 6,674 | 4 |
アオサギ | 1 | Ardea cinerea | 1,023 | 4 |
マガモ | 1 | Anas platyrhynchos | 7,701 | 4 |
カルガモ | 1 | Anas poecilorhyncha | 2,232 | 4 |
コガモ | 1 | Anas crecca | 4,718 | 4 |
ハシビロガモ | 1 | Anas clypeata | 2,368 | 4 |
ホシハジロ | 1 | Aythya ferina | 5,752 | 4 |
キンクロハジロ | 1 | Aythya fuligula | 4,069 | 4 |
トビ | 1 | Milvus migrans | 1,023 | 4 |
キジ | 1 | Phasianus colchicus | 1,077 | 4 |
コチドリ | 1 | Charadrius dubius | 2,002 | 4 |
イカルチドリ | 1 | Charadrius placidus | 1,049 | 4 |
シロチドリ | 1 | Charadrius alexandrinus | 3,872 | 4 |
メダイチドリ | 1 | Charadrius mongolus | 1,511 | 4 |
ケリ | 1 | Microsarcops cinereus | 4,434 | 4 |
キョウジョシギ | 1 | Arenaria interpres | 2,891 | 4 |
ヒバリシギ | 1 | Calidris subminuta | 1,024 | 4 |
ハマシギ | 1 | Calidris alpina | 6,478 | 4 |
タカブシギ | 1 | Tringa glareola | 1,536 | 4 |
イソシギ | 1 | Tringa hypoleucos | 2,312 | 4 |
ソリハシシギ | 1 | Xenus cinereus | 3,489 | 4 |
タシギ | 1 | Gallinago gallinago | 2,296 | 4 |
オオジシギ | 1 | Gallinago hardwickii | 3,715 | 4 |
ユリカモメ | 1 | Larus ridibundus | 3,295 | 4 |
エリグロアジサシ | 1 | Sterna sumatrana | 1,564 | 4 |
マミジロアジサシ | 1 | Sterna anaethetus | 1,482 | 4 |
クロアジサシ | 1 | Anous stolidus | 2,343 | 4 |
カンムリウミスズメ | 1 | Synthliboramphus wumizusume | 1,664 | 4 |
キジバト | 1 | Streptopelia orientalis | 4,810 | 4 |
コノハズク | 1 | Otus scops | 2,865 | 4 |
オオコノハズク | 1 | Otus bakkamoena | 2,204 | 4 |
フクロウ | 1 | Strix uralensis | 1,283 | 4 |
ヒメアマツバメ | 1 | Apus affinis | 2,176 | 4 |
カワセミ | 1 | Alcedo atthis | 4,049 | 4 |
ブッポウソウ | 1 | Eurystomus orientalis | 1,138 | 4 |
アリスイ | 1 | Jynx torquilla | 1,955 | 4 |
アオゲラ | 1 | Picus awokera | 1,200 | 4 |
アカゲラ | 1 | Dendrocopos major | 4,368 | 4 |
コゲラ | 1 | Dendrocopos kizuki | 4,644 | 4 |
スズメ目 | 11種 | |||
セグロセキレイ | 2 | Motacilla grandis | 3,218 | 4 |
カヤクグリ | 2 | Prunella rubida | 5,731 | 4 |
コマドリ | 2 | Erithacus akahige | 5,251 | 4 |
アカヒゲ | 2 | Erithacus komadori | 1,327 | 4 |
オオセッカ | 2 | Megalurus pryeri | 4,517 | 4 |
サンコウチョウ | 2 | Terpsiphone atrocaudata | 1,426 | 4 |
イカル | 2 | Eophona personata | 3,233 | 4 |
ニュウナイスズメ | 2 | Passer rutilans | 5,181 | 4 |
コムクドリ | 2 | Sturnus philippensis | 4,854 | 4 |
オナガ | 2 | Cyanopica cyana | 2,388 | 4 |
ハシブトガラス | 2 | Corvus macrorhynchos | 1,273 | 4 |
外来種 | 1種 | |||
ソウシチョウ | 3 | Leiothrix lutea | 7,449 | 4 |