2011年大会講演要旨13


福島潟 2000年〜2011年 夏・初秋の鳥類標識調査について
新潟市 南雲 照三

私は日本鳥類標識協会新潟グループの会員として1996年頃から環境省福島潟1級鳥類観測所を使用して5月下旬より10月上旬にかけて、アシ原で生活する小鳥類を中心に標識調査を行ってきた。今回大会事務局より依頼があり、不十分なところもあるかと思うが、2000年以後の記録を元に、概況を報告する
2000年より2011年までの12年間に標識放鳥された鳥類は36種、放鳥総数は5461羽(Rt,Rc428羽を含む)、調査日数は年により18~30日、合計325日、網枚数は20〜45枚、誘引は無し、1日当り平均17羽ほどである。
放鳥数のベスト5はオオヨシキリ・コヨシキリ・カワラヒワ・スズメ・シマセンニュウである。中でもオオヨシキリはN(新放鳥)2353,Rt 385,Rc 3合計すると2741羽となり放鳥総数の50.2%である。しかもRt 385羽は注目に値する。しかしRcは他所放鳥−福島潟回収が3羽、福島潟放鳥−他所回収が1羽合計4羽である。
 Rtの最長寿記録は初放鳥時を1歳として8歳の記録が2例ある。初放鳥時に1S(2歳)と判定してあるので9歳と考えられる。この他Rtの記録より次のことが観察された。
1、 網場を通路や水路などにより区分し定置はA,B,C,それ以外もD,X,Mなど記号をつけて回収地を記録したところ同じところで回収される例が多く回帰性が強いことが判った。
2、 虹彩の変化を、鳥研の尾崎氏のご指導によりColor Guideを使用して記録したところ、8歳の1例は年数を経ても暗い状態が記録され、なかなか明るい虹彩にならない個体があることが判った。このことから、虹彩が暗い個体については、年齢判定の際注意が必要である。
3、 時々極端な全身換羽の個体が見つかるが、3年目のRt個体に2例その例がみられたことから、この現象は3年目におこるのではないかと推察される。
Rcの他所放鳥−福島潟回収については福井県敦賀市中池見で初放鳥が1羽、愛知県田原市田原で初放鳥が1羽いずれも2002年放鳥2003年回収である。田原からの個体は2004年にも回収され3例目となった。福島潟初放鳥−他所回収は2例と大会で報告したが、その後詳細不明とした例は私の記録読み違いとわかり福島潟2008年初放鳥し茨城県水海道市菅生沼で2010年回収された1例のみである。しかし大会で仙台市の杉野目氏より回収の報告があり、また鳥研の仲村氏より2002年6月福島潟初放鳥の個体が同年7月愛知県田原市田原で回収されている記録をお知らせ頂いたので、合わせてここに報告する。


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