2011大会講演要旨12
菅生沼バンディングサイトの28年
菅生沼バンディングチーム
広居 忠量・吉丸 博志
菅生沼バンディングサイトは茨城県常総市と千葉県野田市の境界にある利根川の遊水池内に位置している。ここは取り立てた特徴もない典型的なヨシ原の網場であるが、1983年からほとんど同じ場所で、特に1993年以降はほぼ毎月のバンディングを継続していることから、その概要を紹介したい。
1. 網場の概要
網場は西から利根川、同河川敷、溢流堰、東に遊水池内の池、田畑に挟まれた3ha程度のヨシ原で、乱場となっている。ヨシ原内は利根川から流入する軟泥で覆われ水位はかなり高い。溢流堰沿いにヤナギ類やエノキ等の早生樹が生えるが、定期的に伐採されるので樹木といえるほどのものはほとんどない。多くの年では春先に火入れがあり、数年に一度程度、大雨の後に川水が溢流堰を越えて流入する。
1983年以降、徐々に日数、網の枚数を増やし、現在は年間25-30日程度実施している。網を開くのは土曜日の昼から翌日曜日の昼までというパターンが多い。
2.捕獲鳥種の概要
現在までに籠抜けを含めて96種、約4万羽を新放鳥した。鳥種は多い方から、オオジュリン、スズメ、カワラヒワ、オオヨシキリ、ホオジロとなっている。
回収例は7種約550羽であるが、その大部分はオオジュリン(522羽)であった。当地放鳥され他所で回収された例は11種、約340例あり、やはりそのほとんどがオオジュリンであった。
3.オオジュリンとオオヨシキリの渡来傾向について
菅生沼の繁殖期を代表するのはオオヨシキリ、越冬期はオオジュリンである。捕獲数の変遷から見ると前者は増加傾向、後者は減少傾向にあるが、これらの渡来状況について若干の考察を加えたい。