佐藤弘(新潟県)、茂田良光(千葉県)、茅島春彦(東京都)、小畑義之(大阪府)、片岡宣彦(兵庫県)、木村麻美子(和歌山県)

国立生物資源研究所 脊椎動物部門(Division of Vertebrates Research
National Institute of Biological Resources Environmental Research Complex):
Kim、JinHan、 Hur、WeeHaeng、 Kim、SungHyun、 Han、HyeonJin
国立公園渡り鳥研究所:Bin、Gi-Chang、小倉豪
日本側参加者


韓国側参加者

2009年 日韓共同調査の概況報告

片岡宣彦・小畑義之・茅島春彦・木村麻美子・佐藤弘・茂田良光

 2008年から協会として半島部での調査の可能性を韓国側に打診したところ、2009年に国立生物資源研究所との共同調査としてプサン郊外の洛東江河口で実施することができた。韓国のバンディングで使われる足環はこの研究所が管理しており、シギチドリ類やクロツラヘラサギなどの調査は行なっていたが、プサンでのバンディング調査は韓国側にとっても今回が初めてである。

期間 2009年11月1日から11月6日(調査は2日から5日に実施)
調査地 韓国釜山広域市沙下区 洛東江河口 乙淑島 (ウルスクド)









 プサン郊外を流れる洛東江(ナクトンガン)は全長525kmで韓国では最長の河川である。調査地は釜山広域市沙下区下端洞、洛東江の河口に広がる中州の一つ乙淑島(ウルスクド)である。乙淑島は広大な中州で、長さ約4.5km、幅約1.3kmあり、北部を通過する国道より下流側はすべて‘乙淑島渡り鳥公園’となっており、その中には2006年に完成した洛東江エコセンターがある。過去に埋め立てられた土地の多くは、現在低木林の混じる乾燥した草地であるが、エコセンターの南側には大きな池があり、オオハクチョウやヒシクイをはじめとする、水鳥の休息地となっている。乙淑島の大部分は1966年天然記念物179号渡り鳥渡来地に指定され、開発により過去に破壊された生態系の復元事業が推進中で、生態系学習の場として利用できるエコセンターもあり、隣接して野生傷病鳥獣の治療やリハビリを担う野生生物医療センターがある。
 網場は、かつて人為的に埋め立てられた干拓地内の乾燥したヨシ原と、低木林の混じる乾燥した草地の数カ所に開いた。これら干拓地の周辺にはヨシ原が広がっているが、潮の干満差が大きく、網場を拓くことは出来なかった。放鳥結果は、18種新放鳥329羽、再捕獲(Rp)4羽 であった。内訳ではミヤマホオジロが220羽で全体の66%と多く、次いでダルマエナガの35羽(10.5%)、シジュウカラの23羽(6.9%)、ジョウビタキの19羽(5.7%)、カシラダカの15羽(4.5%)で上位5種を占めた。そのほかにはシベリアジュリン、モズ、コホオアカなど、低木林や草原を好む鳥種が放鳥されたが、放鳥数はすべて一桁台と少なかった(バンダーニュースNo.42参照)。


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