シンポジウム「再捕獲でわかった事、わかる事−鳥類生態解明におけるRp,Rt,Rcの役割−」企画趣旨

梶田学


 シンポジウムのタイトルは「再捕獲でわかった事、わかる事 −鳥類の生態解明におけるRp,Rt,Rcの役割−」である。
 Rp(リピート),Rt(リターン),Rc(リカバリー)について、知らない方もおられるので、それぞれの厳密な定義は除いて簡単に説明する。
 Rpとは捕獲した場所で放鳥してすぐその場所で捕獲されたもの,Rtは一定期間後に捕獲されたもので戻ってきたというもの,Rcは別の場所で捕獲されたというもの。標識調査の再捕情報では最も多いのがリピート、次にリターン、リカバリーは限られている。例えば、最新の2007年度の鳥類標識報告書では、新放鳥数167,027羽に対して、再放鳥数の総計は13、996羽であり、その内訳は、リカバリーが662羽、リターンが4,392羽、リピートが8,942羽だった。
 Rcから鳥の移動わかる。RtやRcから鳥の寿命も判るが、Rpからは何が判るかという疑問を持つ人もいる。今回はRtから寿命以外何が判るか、Rpから何が判るかについて、7人の方に紹介していただくことにした。
 最初の4人には、再捕獲によって同一個体の経過が追えるということを活かした調査について紹介していただく。
 深井様は、年齢の識別点の発見について、森本様からは鳥の羽色の年齢にともなう変化について聞かせていただく。
清水様と古園様には、体重の変化に焦点をあてた報告をしていただく。清水様は中継地、古園様は越冬地における体重の変化である。
 休憩をはさんで3人には、個体群の特性が把握できるという点を紹介していただく。脇坂様は、北海道の広川様達のやった繁殖地への帰還調査の紹介を、福岡様にはリターン記録を活かした番い関係の解明について、須川様には標識再捕法による個体群特性の調査例について紹介していただく。

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