大阪府河内長野市のツバメ Hirundo rustica のリターン記録について

福岡 賢造 


 ツバメは人家の軒先で営巣するなじみの深い鳥であるがその生態についてはまだ判っていない点が多い。筆者はツバメが営巣する家の住人から「毎年同じツバメが帰ってきているのか」と尋ねられ返答に窮したことを契機に、ツバメの帰還についての調査を開始した。
 調査は大阪府河内長野市、南海高野線千代田駅の駅前商店街で実施した。道路の両側に連なる商店で営巣するツバメをタモ網またはカスミ網を用いて捕獲し、脚環を付け放鳥した。ヒナは日齢14日前後を見計らって捕獲し脚環を付けて巣に戻した。調査は1989年から実施しているが、今回は2004年から2008年までのデータを用いて発表する。
 調査年度によってばらつきがあるが、調査巣(繁殖ペア)数に対し44〜72%の成鳥を捕獲している。捕獲した成鳥の約40%が再捕獲個体であり、雌雄別に見るとオスの再捕獲率が49%、メスが33%でオスの方が再捕獲される割合が高かった。

 調査地で巣立ったヒナの再捕獲率は雌雄合計で0.87%であった。雌雄別ではオスの再捕獲率がメスのおよそ7倍であった。
 発表ではこのほかに、過去利用巣への帰還率や同一ペアでの再捕獲率ついても発表を行う。
 なお、本発表に際しデータ整理およびまとめについて村濱史郎氏の多大な協力を得た。この場を借りてお礼申し上げる。
  
























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