近年,鳥類の調査・研究のためカラーリングやタッグなどの装着,染色などでカラーマーキングをする場合が急増している。しかし,ほとんどの場合個人の調査計画に基づいて実施されていて,同種について異なる調査があっても調整は行われていないのが普通のようである。また,当事者の間で事前に調整を行おうとしても,現状では非常に困難である。すでに,同一のカラー標識装着が行われた例もあり,このままではますます混乱が多発し,標識努力も価値の少ないものになりかねない。
 そこで,これらの問題を専門に取り組む機関の設置が急務と考えられる。今年度の評議員会の承認が得られたので,以下の行動計画を実施することとなった。

1. 標識協会に鳥類カラーマーキング登録・調整委員会(カラーマーキング委員会と略す)の設置

 この委員会は標識協会の幹事が兼務する。担当の幹事は尾崎、佐藤、茂田、福田とする。担当の幹事は委員会の活動について提案し,委員会の承認を受けて活動を行う。委員長は協会会長が兼務し,会務を総括する。

2. 委員会設置の広告

 バンダーニュース,鳥学ニュース,野鳥(またはストリクス)などの関係誌に委員会の設置を広告し,また一般の研究者に対してカラー標識実施の際は,本委員会の登録担当者と協議するよう呼びかける。担当者未定の鳥種については,それらのカラー標識の登録・調整作業を委員会が代行する。 

3.活動計画

  1. 委員会は過去の実績などに基づき,各鳥種あるいは鳥グループの担当者(1名を原則とし,数名の場合は責任者を決める)を順次選出する。委員会は選出された担当者と標識登録事務に関しての取り決めを行う。

  2. 担当者から提出される記録マニュァルと登録用紙を配布し,データの取りまとめを行う(事務連絡経費を予算化する)。登録項目は放鳥種,放鳥年(鳥種の繁殖期または渡来期に合わす),用いた標識の種類(写真か図を付ける),放鳥場所,放鳥数などとする。
    なお,原簿は原則的に登録担当者が管理する。原簿のスタイルは,すでにそれぞれの形で多数の記録が実施されている種が多いので,基本的に登録担当者にまかせる。

  3. 登録状況(過去にさかのぼって)を掲載可能なものから成るべく早期に,順次日本鳥類標識協会誌に掲載する。なお,登録種は外国から日本に渡来する場合,国外放鳥種も含める。

  4. 委員会は,担当者と標識実施の前に協議・調整を行う。

  5. 委員会は必要に応じて,日本鳥学会大会開催時などに登録担当者の全体会議を開催する。

  6. 委員会は,海外のカラーマーキング登録団体との調整を行う。

4. 登録担当者との取り決め事項(案)

  1. 委員会の問い合わせに対応できる形で,個体別の記録を行う。

  2. 標識年度別のカラー標識状況の説明資料を委員会に提出し,あわせて日本鳥類標識協会誌に,その概要を投稿する。

  3. 担当種のカラー標識の調整を立案し,委員会と協議する。

  4. 委員会との事務連絡費は,委員会が負担する。


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