日別放鳥一覧自動作成ソフト等の更新情報および
山階鳥類研究所報告データの活用方法について

井戸 浩之


 ボランティアバンダーは仕事の合間をぬって休日等に標識調査を行い、多大な成果を上げているところであるが、毎年報告期限が近づくと集計作業やレポート作成に時間を要している。最近はデジタルデータの入力や報告が行われるようになったことから、入力作業でさらに追加負担が生じている。バンダーの負担を少なくしていくことが重要である。
 そこで私は、山階鳥類研究所が配布している入力ソフトで作成したデジタルデータを用いて日別放鳥一覧と放鳥集計の二つのレポートを自動で作成するエクセルマクロを作成した。2008年8月からソフト作成を開始し、同年12月から一般公開を開始した。二つのレポートは、バンダーが最も時間を要していたレポートである。私の場合、1週間かかっていたレポート作成が半日で完成するようになった。このソフトを使うことでバンダーがレポート作成の手間を省くことができるだけでなく、バンダー入力ソフトの普及にも役立つと思われる。2013年10月にバージョンアップし、新分類での自動並び替えに対応する予定である。使用を希望される方は私の方まで連絡いただければありがたい。
 レポート作成については省力化が可能となったが、ほかにも提出物の様式を電子ファイル配布することが省力化に有効と思われる。特に別途学術研究を行う場合は書類が増えることから、電子化されれば恩恵が大きいと思われる。
 バンダー入力ソフトで作成したデータ(DBFファイル)は山階鳥類研究所に提出することになるが、手元で活用すれば論文作成などに役立てることが可能である。DBFファイルをエクセルの画面上にドラッグすればデータを読み込むことができる。エクセルのピボットテーブル機能を使って、種、性別、年齢ごとに集計することができる。ただし、エクセルでの集計は表やグラフなどレポート作成に使用する時に便利であるが、データ解析には適していない。特に有意差検定についてはエクセルを使うと誤った結果をもたらすことがあり、この場合は別途統計ソフトを使う必要がある。今回はDBFファイルを使って、統計ソフト「R」を使用し、フィッシャーの正確確率検定を行う場合の手順を紹介する。


2013年度日本鳥類標識協会全国大会シンポジウム講演要旨

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