奥尻島標識調査の報告
札幌市 猿子 正彦

1 目的
 北海道の離島での標識調査は利尻島や焼尻島ではバンダーが渡島して長期にわたって標識調査が行われている。しかしながら、同じ規模の離島である北海道南部の奥尻島では過去に散発的に標識調査は行なわれているが前述の標識調査に較べても調査日数や調査内容も極めて不十分な結果となっている。今回、北海道のバンダー有志で作る北海道バンダー連絡会が中心となって奥尻島での初の共同調査を春の渡りの時期に実施した。
2 調査期間
 2009年5月1日(金)〜4日(月) 4日間。
※ 5月1日は船での渡島と到着後の網場作りが主な作業となった。
3 調査地
 奥尻島南部地域の3ヶ所 (別途位置図参照)
@ ST-1:青苗川河川敷地(下流域)/ 北海道函館土木現業所所有地 写真1〜3
A ST-2:青苗川河川敷地(中流域)/ 北海道函館土木現業所所有地 写真4〜6
B ST-3:松江町営牧場      / 奥尻町所有地        写真7〜9
4 調査方法
 かすみ網による標識調査
 使用したかすみ網数は以下のとおり。
@ ST-1:36メッシュ/12m : 10枚
A ST-2:36メッシュ/12m : 10枚
B ST-3:36メッシュ/12m : 10枚
5 結果
 全体 8科21種 78個体(RP 9個体)
@ ST-1:6科11種 18個体        写真10〜13
A ST-2:5科 7種 19個体(RP 4個体) 写真14〜16 
B ST-3:7科14種 41個体(RP 5個体) 写真17〜19
6 今回の調査で明らかになった課題
@ 今後の標識調査の継続
A 標識場所の選択と捕獲方法の検討
(理由)@北海道内の他の離島での調査内容とも比較できるためには引き続き、渡りの時期に島に渡って標識調査を行い、放鳥実績を積み上げて行く必要があるが、今後、誰がどのように続けていくのかは未定のままである。
A今回の調査地以外の周辺部にある田んぼや畑などの平地にカシラダカなどの小鳥類の相当数の群れが地面に降りて採食する姿が見られた。今回は、残念ながら、そういった場所での標識調査を想定していなかった。また、田や畑などの開けた場所で採食する小鳥類の捕獲方法についての知識と経験がなく、どういった方法がよいのか検討が必要なことが分かった。


もどる