韓国紅島の渡り鳥研究センター設立および調査
蔡熙永(CHAE, Hee-Young)
韓国国立公園研究院 渡り鳥研究センター


 韓半島西海岸は東アジア渡り鳥の移動経路上、重要な位置を占めているが、今まで体系的な調査および研究はほとんど行われていない。我々は2002年から紅島(Hong-do)および黒山島(Heuksan-do)で渡り鳥の個体群変動などを調査して韓半島西海岸の重要性および渡り鳥研究センター設立必要性などを環境部および企画予算庁に説明した。持続的な説明と説得により2005年センター設立許可をもらうことになった。
 韓国国立公園渡り鳥研究センター(National Park Migratory Birds Center; NPMBC)は 韓国ではじめて設立された渡り鳥専門の研究機関で、韓半島最西端である紅島に2005年7月に設立された。今センターでは研究員7人、環境解説者(Eco-guide)1人、協力者(Suppoter)1人、合計9人が働いている。センターでは渡り鳥モニタリング、渡り鳥移動経路調査、絶滅危機にある種の生態研究、鳥類分類、生息環境改善のための研究、鳥類インフルエンザサンプリング、鳥類レスキュー、地域住民および観光客に対する教育などの仕事をしている。
 今まで、紅島および黒山島で発見された鳥類は310種で殆んどが渡り鳥である。そのうち今まで韓国で記録がなかった種も10種が含まれている(イナバヒタキ、イエスズメ、ヨーロッパコマドリなど)。このデータからもわかるようにこの地域が韓半島の重要な渡り鳥の中継地であることが明らかである。紅島で渡り鳥が多く見られる時期は4月と5月の春と9月から11月までである。殆んどの渡り鳥は紅島および黒山島で1週間から半月ぐらい過ごしてからほかのところに移動する。また、今までリカバリ(Recovery)された種は3種ある(コヨシキリ、シマセンニュウ、キアシセグロカモメ)。コヨシキリは日本の島根県平田市で標識した個体で、ほかの1個体は群馬県の仙台市で標識した個体である。また、シマセンニュウは東北地方青森県で標識された個体であった。キアシセグロカモメはモンゴルでドイツの学者が標識した個体であった。
 今まで紅島および黒山島で標識したのは87種1,020個体であった。昨年からは日本標識協会のメンバーと日韓共同標識調査を行っている。
 センターではこれら標識調査以外にもいろいろな仕事をしている。韓国で絶滅危機にあるオジロワシの生息環境調査および繁殖生態などに関して調査している。さらに、重要な渡り鳥中継地である紅島と黒山島で渡り鳥の中継地の機能が十分できるように生息環境改善のための研究も行っている。さらに、国際的な問題になっている鳥類インフルエンザに関する研究を韓国獣医科学検疫院と共同研究を行っている。これら以外も鳥類分類、教育など様々な仕事を行っている。
 今回私は韓国ではじめて設立された韓国渡り鳥研究センターの設立意味および仕事内容などを詳しく発表して日韓渡り鳥共同研究の方向を導く。

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