サギ類カラーマーキング調査

山階鳥類研究所
佐藤文男、米田重玄、茂田良光

日本で繁殖するサギ類の一部(ヨシゴイ、ミゾゴイ、ゴイサギ、アマサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ)は冬期に東南アジアに渡り越冬していることが、1960年から1970年代に実施された標識調査により確かめられている。しかし、その後は山階鳥類研究所がサギ類の標識調査を積極的に行わなかったことから、回収数は減少傾向にある。
近年、鳥類が関連する感染症は当時とは事情が異なり、鳥インフルエンザウイルスや西ナイルウイルスなどが社会問題となっていることからも、改めてこれらウイルスの移動に関係すると推察されるサギ類の国内・国外移動を把握することが重要であると考えられる。また、近年、韓国、中国、台湾、などの国々でも標識調査が開始されている他、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシアでは日本からの標識調査技術移転の講習会が開催されるなど、渡り鳥への関心が高くなっている。こうした観点から山階鳥類研究所ではあらたに、サギ類の移動を調査するための標識調査を計画し実施した。調査は当面2006年から2008年の3年間実施する予定である。
今年の調査ではサギ類の集団繁殖地内おいて、巣内雛にカラーリング1個と環境省標識金属リング1個を装着した。カラーリングは黄色地に黒文字で3桁の文字を2列に刻み、文字はA00〜A99、B00〜B99、C00〜C99の300個で6月に茨城県から鹿児島県の10県13ヶ所で300羽のサギ類に装着した(表参照)。
この結果、これまでダイサギで山口→山口、チュウサギで千葉→岩手、福井→岐阜、コサギで茨城→栃木・福島など5例の回収及び再観察例が得られた



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