2006年日韓共同鳥類標識調査報告

馬田 勝義 小倉 豪 片岡 宣彦 渡辺靖夫

 2005年に実施された日韓共同調査を2006年も実施したので報告する。演者らは10月8日から10月14日の日程で韓国を訪れ、10月9日から10月13日の5日間標識調査を実施した。
2005年の調査に比べ10日遅い調査となった。日本からは上記4名の参加となった。
 調査は韓国国立公園渡り鳥センターの研究員と共に、2005年と同じ全羅南道新安郡黒山面紅島(ホンド)と黒山島(フクサンド)の2ヶ所で実施され、紅島では延べ2日、黒山島では延べ4日行った。
 調査結果は新放鳥数183羽、再捕数9羽、放鳥種数は28種 であった(放鳥一覧)。
 紅島ではかすみ網7枚(78m)を照葉樹林の林縁部と低木や草地の拡がる斜面に張り実施した。紅島ではメジロが多く放鳥され、昨年同様チョウセンメジロやオオルリ(亜種チョウセンオオルリ)も放鳥された。また昨年は放鳥できなかったヒヨドリ、ノドグロツグミ(亜種ノドアカツグミ)、サンショウクイなどが放鳥された。
 黒山島では11枚(約138m)をヤナギがまばらに生えるヨシ原と、湿地に隣接するマツ林に張った。昨年に比べヨシ原の網場はほぼ同じ位置だったが、調査時期が遅かったせいかシマノジコ、タシギが多く放鳥された。ホオジロ類ではアオジ(亜種シベリアアオジ)がシマノジコに次いで多く、昨年放鳥されなかったホオアカも放鳥された。タヒバリ類ではビンズイ、タヒバリ、ムネアカタヒバリ、セジロタヒバリの4種が放鳥され、さらに大型ツグミ類のカラアカハラやシロハラも放鳥されるなど、調査地としての良好性をあらためて実感した。また今年初めて網を張ったマツ林ではメジロ、シロハラがまとまってかかり、森林性の種を中心に捕獲することも可能と思われた。
 全体の放鳥数が昨年より多かった原因の一つに、黒山島での調査が1日多かったことがあげられる。 今後も日韓共同調査を実施し人的・技術的な交流を深めることは、韓国のバンディングの発展のみならず、両国間での回収数を増加させることにも繋がり、日本国内のバンディン グの発展にも寄与できると考えられる。   

 


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